松下政経塾 The Matsushita Institute of
Goverment and Management

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1999年12月

塾報

有権者にとってのあたりまえを大切に
村井嘉浩/卒塾生     編集部

 多くの政治家にとって一番の関心事は選挙に通ること、そのためには少しでも損をしたくない、というのが本音だろう。しかし自らの選挙区の定員削減を提案した議員がいた。村井嘉浩塾員(宮城県議会議員、松下政経塾第13期生)に聞く。

 
―― 自衛隊でヘリコプターパイロットをしていた村井さんが、なぜ政治家になろうと思ったのですか。

 私が自衛官だった時に、PKO(国連平和維持活動)が国会で議論されていたのですが、非常に瑣末な議論の繰り返しでした。それに憤りを感じ、新聞や雑誌に投稿したのですが、自衛官は政治的活動を禁止されているため、それ以上のことはできない。自分の考えていることを主張するためには政治の道しかない、と思っている時に新聞を開くと、偶然、松下政経塾の募集広告が載っていたのです。

―― ためらいはありませんでしたか。

 家内は賛成してくれましたが、お腹の中には2人目の子供がいる。さすがにお腹の子には相談できませんでした(笑)。将来、議員になれる保証なんてもちろんありません。若かったからできたのです。

―― それで1995年の統一地方選挙で初当選した。

 私は大阪、家内は福岡出身です。でも自衛隊時代に宮城県に住んで気にいっていた、それに21世紀は東北の時代になるという直感があったので、ここで選挙に出ることにしました。自分の想いや主張が正しければ、どこで出ても支持してもらえると信じていました。ところが初めは、生まれが宮城県でないというだけで話も聞いてもらえませんでした(笑)。政経塾の研修で行ったスウェーデンでは、一定の要件を満たした外国人にも被選挙権が与えられていたのに、とその時ばかりは日本の政治の閉鎖性を強く感じました。今はすっかり受け入れてもらえるようになったのですが。

―― 「正直に、決して無理をせず、あたりまえのことをあたりまえに」がモットーだと聞いています。

 「あたりまえのこと」とは、私にとっての「あたりまえ」でなく、有権者にとっての「あたりまえ」です。私の政治活動は、常に有権者が考えている「あたりまえのこと」を無理のない範囲でやるように努めています。

―― 今年4月、2度目の選挙では、自分の選挙区の定数を減らすことを提案したと聞きました。

 県会議員選挙で1票の格差が3倍以上ある選挙区が出てきたのです。議会全体の雰囲気は総定数を63人から64人に増やすことで解決しようという方向でした。しかし経済状況から考えても、定数を増やすのは間違っている。そこで、私の選挙区の定数を1減らして、それを足らない所にまわすことを提案しました。私は1回目の選挙は最下位当選で、自分の首が一番危ない(笑)。ただ私は「正しいことをしていれば必ず人は支持してくれる」と信じていました。結果は、2位(4人区)で当選できました。最初は「馬鹿だなぁ」とあきれていた支持者の方も一層力を入れてくれました。
 判断に迷うときには、いつも「松下幸之助塾主だったらどうするか」と考えます。政経塾で松下塾主の考えに触れたことで、まわりに流されない胆(はら)を養えて、本当に良かったと思います。これからも、あの世に行った時、塾主に怒られないような(笑)活動を続けたいと思います。
1999年12月 執筆
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