論考

Thesis

コラム ~通常国会を振り返って~

諌早湾干拓

 前回の通常国会は、私たち民主党にとっては結党後初めて迎えた通常国会でした。民主党は「建設的な野党」として臨みましたが、依然として古い体質に直面することが多く、私は「日本の政治はこれでいいのか」という思いがしてなりませんでした。
 そのひとつは諌早湾の干拓問題です。「食料自給率アップには優良農地が必要」などと言われていますが、巨額の資金を注ぎ込んだ干拓地に、誰が高い費用を払って入植するでしょうか。耕作放棄地や減反地が多くあるのに、なぜ10万㌶も造成するのでしょうか。洪水対策なのか、農地干拓なのかもあいまいなまま進められ、これこそ税金のムダ遣いです。財政再建が至上課題になっている今、このような事業は見直すべきです。

小さな政府、スリムな日本を

 今は、世界も日本も大きな転換期です。イギリスの保守党には30代の党首が誕生しました。しかし日本の政治は残念ながら古い体質を温存したままです。時代の転換期であることを意識しないリーダーには、大きな改革の決断はできません。
 いずれにしろ、先述のような税金のムダ遣いをしていながら政府は、財政構造改革会議の提言を受け入れ、首都機能移転の延期を決めました。これに対し私は、所属する国会等移転特別委員会で強硬に反対を表明。同委が反対声明をしたことから「凍結」から「延期」になったものです。
 首都機能移転は小さな政府、スリムな日本を築くためにもぜひ必要です。

国民の負担増、健保法改正

 日本の政治の古い体質を残すものに「族議員」があります。私は国会議員には専門性は必要だと思います。しかし、たとえば農政通と農林族は違います。省益を守ろうとする族議員のしがらみは、改革の邪魔です。
 前回の通常国会では、健保法改正が大きな問題になりました。私たちは政府管掌健保などの財政がこのままでは破綻し、国民皆保険制度自体が危機的状況になることから、抜本的改革を主張しました。しかし薬価基準にすらメスは入りません。族議員などの抵抗が強かったからです。小手先の改革に終始しました。

政界再々編は必ずやってくる

 かつて政治の対立軸は保保対革新でした。これからは古い族議員体質勢力や官僚と結びついた族議員体質勢力と、政治を市民の手に戻す勢力との対立になると思います。そしてこの対立を軸に政界再々編は近い将来必ずやってくるでしょう。
 これからも時代の転換期を乗り越え、活力ある未来をつくるための新しい政治を求めて、全力をあげて参りたいと考えています。


(玄葉光一郎/松下政経塾8期生・衆議院議員)

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Koichiro Gemba

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第8期

玄葉 光一郎

げんば・こういちろう

衆議院議員/福島3区/立憲民主党

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