松下政経塾 The Matsushita Institute of
Government and Management

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Column
1997年7月

塾報

一灯を掲げて
原口一博/卒塾生

 
 私たち第4期生が松下政経塾に入塾した1983年、松下幸之助塾主は87歳でした。しか しそのような年齢にもかかわらず、一月に一度といわず何度も大阪から茅ケ崎へ来ては、 私たちに道を説かれました。
 「今のこの国は危機的状況だから君たち頼む」。
 衆議院の議席を得て6カ月、私が常に思い浮かべるのはそうした塾主の姿であり、何 故政経塾をつくったのか、という塾主の思いです。

 東西冷戦下、自由主義陣営は、中央に集めた財を地方に分配することで東側に対抗し てきました。そして日本では分配を多くできる者が選挙に勝ち、いかに太いパイプを中 央に持つかが権力を握ることになり、実力者とは優れたインサイダーという時代が続き ました。
 私は情報公開法案の議員立法を目指してやっていますが、そこで見たのは、決算書も 監査報告書も公開の義務付けのない特殊法人の姿であり、予算にまるで蟻のように群が るインサイダーの姿です。塾主が指摘していた危機が、知れば知るほど深く実感されま す。
 党の違いよりも世代の違い。どちらの方を向いて政治をやっているのか、一部の団体 や地域の利害を優先するのか、市民一人一人の民主主義への参加を主張するのか、その 違いは決定的です。
 立法府の政策決定さえもコントロールしようとする肥大化した行政府。そこに群がる インサイダー。これを白日の下に晒した民主主義を育むシステムをつくること。このこ とこそが私の使命だと信じています。そのために、財政均衡化法案、NPO法案、情報公 開法案、コーラーID法案など、立法者としての活動を強化し、政治の復権に努めています。
 21世紀の私たちの使命は、民族、宗教、国家を超えた意識と枠組みをつくることだと 私は思います。それにはまず、我が国の顔、国家の顔というか理念、アイデンティティ を確立することです。

 いま世界の動きは大きく軍縮へ流れています。しかし残念なことに極東アジアは緊張 の真っ只中にあります。有志で「安全と危機管理を考える会」を立ち上げたり、隣国の リーダーと会談を重ねたりして緊張の融和に奔走しています。争うより癒すこと。儲け ることより生きること。斥けることより育むこと。専門の心理学を活かして続けてきた 教育フォーラムも15年目に入りました。政経塾で松下塾主から託された多くの望みを一 人でも多くの人たちと共有することが私に課せられた使命だと思います。
 政界再編の荒波を乗り越え、原点を大事にしていきたいと願っています。
 「一灯を掲げて暗夜をいけ。暗夜を嘆くなかれ。一灯を保て」

1997年7月 執筆
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