松下政経塾 The Matsushita Institute of
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Column
1996年9月

塾報

ビジョン外交を
前原誠司/卒塾生     編集部

 
 政経塾出身代議士に争点を問う、第3回は前原 誠司さん(さきがけ・新京都2区、松下政経塾第8期生 )に聞いた。

――さきがけの外務・防衛部会長として与党の政策決定の中枢に携わっていますね。
 平成9年度予算のシーリングですが、防衛費、ODAともにもっと削るべきだった。今は日 本の外交の質的転換期ですから。

――途上国やアジアへの援助もカットですか。
「モノと金をばらまいて相手を黙らせる成金のような外交姿勢。これは一見各国と波風を 立てていないようでも、実際は信頼と対話の場をまったく作り出していない。その証拠に アジアは日本に信頼を明言しているでしょうか。同様に内なる外交と防衛の課題を背負わ された沖縄はどうでしょう」

。 ――沖縄と基地問題に対する姿勢は、ODA政策と同じだと……。
「国会議員になって沖縄には10回近く足を運びました。そこで心底感じたのは沖縄ではま だ戦争が終わっていないということです。国内で唯一地上戦の犠牲となった土地。親類や 近しい誰かを戦闘で亡くした記憶を胸に生きている人が今も驚くほど大勢いる。加えて占領された場所がそのまま米軍基地とされた。そんな島が日米関係とアジアに向けた防衛の 最先端とされている。沖縄の人の気持ちに気付けば気付くほど熟慮が求められます。沖縄 の感情と解決のプロセスをどう扱うかで、日本の将来の国際的立場と信頼が左右され、そ れが沖縄の人々にもはね返るのです」。

――簡単に答えは出そうにありませんね。
「私は政治家ですから、トータルに見た日本の安全を考えなければなりません。それは、 日米安保条約と米軍の存在がどれだけ日本とアジアの安全保障を支えてきたかということ 。そしてその前提があって通商や経済成長が達成されたという事実。しかし一方で沖縄の 人はもう我慢できないという真実。同時にそれが反米として米国に伝わってしまう現実。 どれ一つとして、軽視できません。だから複雑な多元方程式を解くような作業なんです。 」

――難題の解決に何を前面に出しますか。
「現状の日本と米国、アジアの関係はいずれ変わるという認識です。これまでは安保堅持 なら米国べったり。そうでなければ米軍基地全面撤去で反米・親アジア。しかし日本の地 勢上の位置からはもう一つの道が自然なはずです。アジアに米国を引き込む役割です」。

――新しい視点ですね。
「『その先を示す』外交。たとえば日米安保の再定義も、それがアジアに対抗するためか 、逆に日本と米国、アジア共生へのステップなのかを説明しないから、アジアは不信感を 抱く。沖縄の県民にしても同様です。そのような構想と説明を示す外交姿勢への転換こそ 、ここ数年の日本の課題です」。

(文責・編集部)

1996年9月 執筆
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