松下政経塾 The Matsushita Institute of
Government and Management

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宗家研修
2003年11月

研修レポート

茶室に生きる精神
福田達男/卒塾生

 

 宗家研修では、私が生まれてから決して接することが出来なかった多くの経験をさせて頂いた。我々を受け入れて頂いた鵬雲斎大宗匠、坐忘斎お家元、ご指導頂いた中島宋基業躰、中西宋修業躰、町田宋隆業躰をはじめ、茶道会館でお世話になった方々には感謝しても仕切れない程の気持ちを今でも強く感じている。これは今一時のことでは決してなく、これからもこの何とも言葉で表しにくい気持ちは私の中で行き続けると思う。それ程に新鮮な経験であったし、そして、それ程に私に新しい考えをもたらせてくれたのが、この宗家研修であった。

 3日間の宗家研修の中で、もっとも私が心動かされたのは、裏千家住宅を見学させて頂いた時にご説明頂いた「裏千家住宅は重要文化財の指定を受けている。しかし、重要文化財指定を受けているのは、建物としてではなく、住宅、まさに利休さんの時代からここで毎日人が寝起きをして、朝、障子をあけ、柱、畳を吹き掃除をし、そして空気を入れ替えている、そういう住宅としての裏千家住宅が重要文化財の指定を受けているのだ」ということであった。

 私は、例に漏れずこの歳まで茶道の実際に触れたことは無かった。もし自らが家を建てる時が来たならば日本人の心である茶室を必ず作りたいという希望は以前から漠然と持っていたが、いざ自分が茶に接する機会といえば、まったく無かったのである。それ故、私は茶道になにか格式高いもの、人を遠ざけるものを感じていたことは否定しようが無い。

 しかし、今回、裏千家住宅の説明を伺ったとき、何かが自分の中ですっと消えていくような、そんな感覚を強く覚えた。なぜ幸之助塾主が松下政経塾にあれだけ立派な茶室を作り、我々塾生の研修に取り入れ、政経塾にお見えになった時はご自身自ら茶室に寝泊りしたのか。私は、その一つ一つに塾主が思っていたこと、そして、我々が日本を言う国、世界の人間の営みを凝縮した茶道を入り口として、人間を理解するようにと、幸之助塾主が仰っておられるような、そんな感覚を持ったのである。

 それが、一種、走馬灯のように私の頭の中を駆け巡ったのが、まさに今回の宗家研修であった。そのように感じるまでに自分が成長できた理由は、これまで入塾以来茶道の作法ではなく、精神を学ばせて頂いた事、そして、この3日間の宗家研修で一つの総まとめをさせて頂いたことに尽きると思う。

 改めて表面的でなく、真の意味で茶道に接する入り口を得ることが出来たことに深い感謝をするとともに、今後も、茶道を通じて、自分の精進を重ねて行きたいと思う。

 本当に3日間ありがとうございました。今後とも精進してまいります。

2003年11月 執筆
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