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第3回松下幸之助杯スピーチコンテスト決選大会の講評と審査結果について

出場者と審査員による記念撮影(撮影時はマスクを外しています)



はじめに

 2022年11月26日、「第3回松下幸之助杯スピーチコンテスト決選大会」(主催:公益財団法人松下幸之助記念志財団/後援:文部科学省・読売新聞社・株式会社PHP研究所・神奈川県・茅ヶ崎市/協賛:パナソニック ホールディングス株式会社)が初めて松下政経塾講堂にて開催されました(過去2回はオンライン開催)。
 本コンテストは、松下幸之助塾主の志を次世代につなげ、リーダーとして、SDGsに定められた17の開発目標に取り組み、2030年の世界に向けたビジョンを描き、それを実践する青少年を応援することを目的として企画されています。
 一次審査(スピーチ原稿審査)を経て選出された7名の方が決選大会に出場し、素晴らしいスピーチを披露していただきました。決選大会における審査員による講評と、審査結果及び選評を掲載致します。
 なお、決選大会の録画は松下政経塾公式YouTubeチャンネルにて配信していますので、どうぞご覧下さい。

<第3回松下幸之助杯スピーチコンテスト決選大会(アーカイブ録画)>

審査員による講評(五十音順)

佐伯聡士様(読売新聞東京本社 執行役員・調査研究本部長)※審査員長
 7名のファイナリストの皆さん、本日はお疲れ様でした。昨年に続き今年もこのスピーチコンテストの審査に携わることができまして、本当に嬉しく思っています。未来を担う皆さんのスピーチをお聞きして、ごくごく身近なテーマから世界規模の課題まで意欲的に取り組もうとしている熱意をひしひしと感じるとともに、建設的でユニークで斬新な提言、活力あふれるメッセージを聞いて深い感銘を受けました。
 昨年は私たち審査員もオンラインでしたが、今年は私と辰野さんは会場で聞くことができました。この数メートルの距離で真っ直ぐに向かってくるスピーチは、本当に真剣勝負というような印象を持ち大変感動しました。今回の審査はとても難しいものでした。もちろん去年も難しかったのですが、今年はさらに難しく、7名の方それぞれが様々なアイデアを実際の行動に繋げていらっしゃって、具体的でありました。なかなか差を付けることが難しく、他の審査員の方も言われているように、胃が痛むような思いでした。
 さて、少し大きな話に転じまして、世界に目を向けますと、新型コロナウイルスの感染拡大が相変わらず続いており、その危機が収束していないにもかかわらず、今年2月からはロシアのウクライナ侵略が始まりました。それは現場のウクライナの人道危機だけでなく、世界規模でエネルギーや食糧の危機も加わって、いわゆる複合危機という状態になっています。この危機を乗り越えるために、国の指導者は勿論ですが、それ以外に企業や自治体のトップの語る力、話す力がいかに大事であるかということを日々感じています。例えば、ウクライナのゼレンスキー大統領は、皆さんも何度も演説を聞かれたと思いますが、オンラインやビデオで各国の人々に支援を呼び掛けてきました。特にイギリスの議会では、第二次世界大戦時のチャーチル首相の演説を引用して支援を求めました。こうした話を聞くと、指導者の持つ演説の重みや語る力をあらためて感じたところです。
 最後に、南アフリカのマンデラ元大統領が残した言葉の一つに、「何事も達成するまでは不可能に見える」というものがあります。この会場にいる若いファイナリストの皆さんは、今日のスピーチコンテストを貴重な経験として、今後不可能だと思えることにもどんどん挑戦していただきたいと思います。


辰野まどか様(一般社団法人グローバル教育推進プロジェクト(GiFT)代表理事/ファウンダー)
 7名のファイナリストの皆さん、素晴らしいスピーチありがとうございました。一次審査の原稿を先に読ませていただきとても感動していたのですが、この席で皆さん一人一人の声を聞いて本当に胸が動いて、気が付いたら涙も出ていました。書いている言葉や活動だけではなく、お腹から出てくる声の強さが本当に世界を変えていくのだろうなという思いになりました。
 さて、世界経済フォーラムで「リジェネレーション」という言葉が使われるようになっています。皆さんご存知のサステナビリティ(持続可能性)という言葉のその先と言われています。これは、今より悪くしないという受け身の考え方ではなく、私たちが生活していて環境がもっと良くなる、私たちが見ている今の世界よりも未来がもっと良くなるといった意識をもつ、攻めの姿勢を指すキーワードです。
 今日のスピーチの中で具体的に言うと、平尾さんがベナンでしているゴミを回収するだけでなくそのゴミから新しく肥料を作って栄養改善をする活動、田中さんのスコップ一つで自然が再生し今ない生物多様性が蘇って未来がもっと良くなるという活動も、まさに「リジェネレーション」そのものです。牧島さんは、本当に諦めない粘り強さで他の地域でも応用できるような大切な取り組みをしています。林さんは思いやりと愛情のこもった防災グッズを作ってより多くの人の命が救われるような発想をもっています。八上さんは一人一人の居場所を作りながら確実に教育を通して未来や地域が変わっていく現場にずっといます。岡島さんのパワフルな夢は、これからの子どもたちにも夢を創るし、何よりもその夢がこの瞬間私たちにとても大きなエネルギーと希望をくれました。玉井さんはトランスジェンダーの女性向けの下着が生まれたことで、これから同じ方々がより自由に生き生きする未来が生まれていく、今よりも絶対より良い未来をここから生み出しています。世界がまだ「リジェネレーション」についてよく分からない中で、7名の皆さん全員がそれを体現されていると思いました。
 今より悪くしないでいこうという考え方と、今以上に未来をより良くするという考え方は、似ているようで全く異なります。この差をどうやって埋めるかというと、皆さんのようにワクワクしていたり、誰か困っている人を助けてあげたいという思いだったり、未来へのクリエイティブなアイデアや仲間との繋がりといったことだと思います。
 7名の方に賞を付ける審査は本当に胸が痛くなることでしたが、皆さんを心から応援していますし、なんて頼もしいメンバーなのだろうと思っています。全員が素晴らしい志を持たれていますので、ぜひお互いに交流して下さい。それを「グローバル・シチズンシップ」と呼んでいるのですが、世界をより良くしたいという志を持って絆を深めコラボレーションしながら、一緒により良い未来を一緒に作っていけたらと思います。私自身も沢山エンパワーをいただき、本当に素晴らしく最高のスピーチをされました。その誇りとパワーを胸に、より良い未来を創っていきましょう。


橋爪大三郎様(東京工業大学名誉教授)※オンラインでご審査いただきました
 審査員を務めるのは光栄で、楽しみなことです。今年も7名のみなさんが素晴らしいプレゼンテーションをしてくださり、大変感動しています。でも審査員には、苦しみもあります。どなたのスピーチもこの世界に唯一で素晴らしいスピーチなのに、順番を付けて、「この人が良かった」と決める。まるで、ほかのひとが良くなかったみたいですが、そうではありません。まず、どなたの実践も素晴らしい。それをスピーチ原稿にし、言葉にして、みんなと共有しようとしていることが素晴らしい。さらにそれを、この場で肉声で伝えているのが素晴らしい。会場で聴いていても、YouTubeでも、それはよくわかります。どの方のスピーチを聞いてもそう思いました。こうしたスピーチが尊いので、松下幸之助杯とか優秀賞とかは、もう関係ないと思います。そして、7人のみなさんはもちろん、応募して下さったすべての皆さんに、ありがとうとお礼を言いたいです。 スピーチというのはこんなに素晴らしくて、人びとの間に共感を広げていく。それがたしかな手応えとしてわかるのが、この催しのいちばん大事な点ではないでしょうか。今日はもう一回、そのことを確信できました。
 あとひとつ。この社会にはまだまだいろいろな問題があることを、どのスピーチも伝えています。貧困の問題、環境の問題、教育の問題、災害の問題、……、そうした現実はニュースで見聞きしてもピンと来ませんが、それを現場で知っている皆さんが伝えてくれる言葉は、しっかり受け止められます。そこでわかるのは、どんなに問題が困難でも、それに取り組んでいるひとは必ずいて、なんとかしようと努力し行動しているということです。よく考えれば、私たちの周りは問題だらけです。それにへこたれないで、どうしたらいいか、行動に移し、言葉にする、それをあきらめない限り、この世の中には希望がある。それを伝える言葉がある。そういうことを今日は教えていただいた、貴重な機会だったと思います。このような機会を用意いただいた松下政経塾や、そもそも塾を立ち上げた松下幸之助塾主をはじめ、多くのみなさんに感謝したいです。ありがとうございました。

審査結果

・松下幸之助杯(最優秀賞)(賞状及び副賞30万円)1名

・玉井里於さん  白銅株式会社(社会人)※所属は応募時
<スピーチタイトル>
「トランスジェンダー女性向けの下着開発」
<SDGsの17の開発目標>
「5 ジェンダー平等を実現しよう」
「10. 人や国の不平等をなくそう」

(選評)
 トランスジェンダー女性たちとの出会いから、性別・セクシュアリティに関わらず、誰もが平等な機会を持つことや自分らしく生きる社会を目指して活動しています。SDGsのテーマに合致しつつも、2030年のその先まで継続して取り組もうとする熱意、多くの人に本当に伝えたいという気持ちがスピーチに溢れており、最優秀賞に相応しいと考えます。困難に挫けず、「素志貫徹」を成し遂げられることを期待しています。
※「素志貫徹」は松下政経塾の「五誓」参照。



・パナソニック杯 (賞状及び副賞10万円)1名

・平尾莉夏さん  京都大学(大学院生)
<スピーチタイトル>
「ベナンにおける包摂的なごみの管理を目指した活動」
<SDGsの17の開発目標>
「11.住み続けられるまちづくりを」

(選評)
 西アフリカのベナンに飛び込み、現地のNGOの一員としてごみ収集の問題に取り組んでいます。「2030年までに所得に関わらず適切にごみの始末ができる社会をつくる」という明確なビジョンを掲げ、まさに「現地現場」で多くの人たちと協働して課題解決に取り組む姿勢を評価しました。今後はスピーチの力をより磨きつつ、同様の課題に直面している国や地域の人々のロールモデルになることを期待しています。



・優秀賞(賞状及び副賞5万円)2名

・八上真也さん  大阪府庁(社会人)
<スピーチタイトル>
「すべての子どもたちが学べる『居場所』を!」
<SDGsの17の開発目標>
「17.パートナーシップで目標を達成しよう」

(選評)
 大学生の頃から「子どもの貧困」の問題に取り組み、社会人として働く傍ら、居場所・学習支援事業を自ら立ち上げ取り組んでいます。具体的なデータに基づき説得力のあるスピーチで、現状を的確に伝え、周りの共感を得ようと努力してきた姿勢を評価しました。引き続き、力強いリーダーシップと子どもたちへの温かな眼差しをもって、「誰もが学ぶことができ夢を叶えることができる社会」の実現に向けて邁進することを期待しています。


・岡島花蓮さん  公文国際学園中等部(中学生)
<スピーチタイトル>
「教育が世界を変える」
<SDGsの17の開発目標>
「4.質の高い教育をみんなに」

(選評)
 教育を通じて世界を平和にすることを目指して、子ども記者団や国際NGOに積極的に参加する活動を行っています。圧倒的なスピーチ力と若い世代のインフルエンサーとしての可能性を評価しました。今後は、国際弁護士になる夢を追いかけつつ、開発途上国の子どもたちに「英語の絵本」を贈るアイデアを実現する等、国際社会をリードするような更なる活躍を期待しています。



・奨励賞(賞状及び副賞:松下幸之助著『リーダーになりたい人に知っておいてほしいこと』)

・牧島裕人さん 京都府庁(社会人)
・林 彦利さん 岡崎市立竜海中学校(中学生)
・田中 咲さん 函嶺白百合学園中学校(中学生)

※出場順に掲載しています。
※審査結果に関してのご質問にはお答え致しかねますのでご了承下さい。

おわりに

 本コンテスト開催にあたり、審査員を務めていただきました先生方、ご後援ならびにご協賛をいただきました各団体の皆様、そして告知・応募にご協力いただきました皆様に、心より御礼を申し上げます。
 本コンテストは第4回を実施予定で、詳細は2023年4月頃に松下政経塾HPにて掲載致します。

お問い合わせ先

松下幸之助杯スピーチコンテスト事務局(松下政経塾 政経研究所内)
E-mail seikei@mskj.or.jp
※恐れ入りますがメールでお問い合わせ下さい。

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