活動報告

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塾主を知る関西研修を終えて

 今回の関西研修において、私が一番の目的にしたもの、一番期待したものは、人間・松下幸之助を知ることであった。

 塾で知る松下幸之助塾主は、松下政経塾の設立趣意書、塾是・塾訓・五誓、数々の書物など、成功した後の完成された哲学者・松下幸之助であった。しかし、塾で1ヶ月強過ごし、松下幸之助塾主を知るにつれ、私は松下幸之助がなぜ成功したのか、素の松下幸之助とはどんな人だったのかということに非常に興味が沸いてきた。

 今回の関西研修では、松下幸之助と直接触れ合った人々、実際に過ごしたゆかりの地、松下政経塾以前に残したもの、ビデオや音声といった生の声を訪ね、聞くことでその疑問に対する答えが少しずつ得られた気がする。

 関西研修での道程を辿りながら、塾主について考えが深まったことを述べていく。

1.PHP総合研究所

 関西研修で初めに訪れたのは、PHP総合研究所京都本社である。PHPとは松下幸之助創業主が戦後、Peace and Happiness through Prosperity(繁栄によって平和と幸福を)の理念のもと始められた活動である。ここでは、長年創業主のもとに仕えられた江口社長及び佐藤取締役から創業主が大切にされた心構えである「素直な心」について深く講義をいただいた。素直な心というと、言われたことを受け入れる素直な心と感じがちであるが、創業主のおっしゃる素直な心とは、自分に対しての素直な心、もっと言うならば、私心にとらわれることない物事の本質をとらえる心こそ「素直な心」であると、腹に落ちてわかった気がする。創業主はどんな方でも必ず話を聞き、話に来た人に対しては、玄関まで自分自身で見送りをする方だったとのお話をお聞きした。また、創業主は人の話を聞きながらも、自分の意見もしっかりもった衆議専決の人だったとのお話をお聞きした。

 創業主は松下電器を日本を代表する企業に育て上げることを通じて、何か経営のコツをつかまれたのだと思う。その本質は「素直な心」であり、また「素直な心」を皆が得る事ができれば、平和、幸福、繁栄につながっていくと考えられたのではないか。

・PHPとは(PHP総合研究所)http://www.php.co.jp/company/think.php#php

2.真々庵、裏千家今日庵

 続いて訪れたのは、塾主が京都東山に建てられた茶室・邸宅、真々庵である。塾主は、思索・研究する際は、この真々庵にて行われたという。塾主はこの他にも各地に茶室を寄贈されているが、茶道に塾主は何をお感じになられていたのだろうか。その思いを持って次に訪れたのは、裏千家の宗家である今日庵である。千宗室家元からお話を伺い、今日庵を見学させていただいた。家元からのお話、また薄暗い中に落ち着きと改新がある今日庵からは日本とは何か、日本人とは何かということを感じ、考えさせられた。塾主は日本、日本人とは何かということを非常に大切にされた。茶道には日本の要素がふんだんに散りばめられており、茶道の心を大切に、そこから何かを感じておられたと思う。私はそれは、わび、さび、おもてなしにあるのではないかと感じた。

・今日庵(裏千家)http://www.urasenke.or.jp/

3.農業研修、飯尾醸造

 塾主研究の途中に今回は、丹後の地で、無農薬米の田植え研修をさせていただいた。飯尾醸造さんはその無農薬米を使い、本当のお酢を製造することを大切にされている会社である。私の活動テーマに「日本型農業の確立」がある。今回体験および工場見学をさせていただき、正直農業は想像以上にしんどいものであることを知り、新しいものをつくっていく上で要はやはり人であることを身をもって感じさせていただいた。お米をつくるまえに人をつくることが必要かもしれない。

・会社案内(飯尾醸造)http://www.iio-jozo.co.jp/about/about.html

4.松下電器産業、松下電器歴史館、松下資料館

 次に訪れたのは塾主の源である松下電器である。事業部制の導入、数々の発明、週休2日制の導入、水道哲学等々創業者の経営者としての偉大さをお話、資料、ビデオ等で見せつけられた。本当に圧巻である。ここでやはり気になるのはなぜ創業者はここまで松下電器を成長させることができたのかということである。私はここで2つの点から、その一端を感じることができた。1点目は「健康もない、学問もない、帰るふるさともない」というないないづくしの状況だったからこそ、周りの全てのものを師として謙虚に受け止め自分のものにしていけたということ。2点目は、「松下電器は、ものをつくる前に人をつくる会社です。」の創業者の言葉が松下電器を表しているのではないかということである。松下電器は中村社長のもと新たな創造が実施された。その中にも創業者の精神は未だ生きている。それがこれからの日本企業の鍵になる予感を感じた。

・創業者松下幸之助(松下電器)http://panasonic.co.jp/cgi-bin/person/index.cgi

5.修養団、伊勢神宮

 関西研修の最後に訪れたのは、伊勢市にある修養団伊勢道場と伊勢神宮である。修養団は100年以上にわたり「愛と汗」を通じて青少年の教育をしている団体である。修養団において、意義深かったことは、五十鈴川にて身と心を清める「禊」の体験と中山道場主のお話である。中山道場主は、目がみえない状況にあられるが、目が見える我々以上に世間、人間が見えておられ、お話は私の心の奥まで入り込んで清められるお話であった。また、初めて訪れた伊勢神宮は日本人にとって特別な場所であり、やまと魂の根源のオーラを感じる場所であった。しかし、私は出雲人であるので、もう少し理解と研究を進めていかないと心に落ちないと感じた。

 私たちは、日々塾で生活する中で松下幸之助塾主を神扱いにしてしまうことがある。当然それは大切なことであると思うが、しかし、松下幸之助という人間が松下政経塾に何を期待したのかということを考える時、今一度原点立ち返り、松下幸之助がどういう人間であり、何を伝えようとしたのかを真摯に考える必要があると考える。決して宗教に落ちいることなく、「哲学」や「National」の意味さえ知らなかった塾主を素直に受け止め、松下幸之助を自分の腹に落とし、3年間では足りないかもしれないが、松下幸之助塾主の思いを生成発展させ、自分のものとすべく、日々修心しなければならないと感じた関西研修であった。

 続いて訪れたのは、塾主が京都東山に建てられた茶室・邸宅、真々庵である。塾主は、思索・研究する際は、この真々庵にて行われたという。塾主はこの他にも各地に茶室を寄贈されているが、茶道に塾主は何をお感じになられていたのだろうか。その思いを持って次に訪れたのは、裏千家の宗家である今日庵である。千宗室家元からお話を伺い、今日庵を見学させていただいた。家元からのお話、また薄暗い中に落ち着きと改新がある今日庵からは日本とは何か、日本人とは何かということを感じ、考えさせられた。塾主は日本、日本人とは何かということを非常に大切にされた。茶道には日本の要素がふんだんに散りばめられており、茶道の心を大切に、そこから何かを感じておられたと思う。私はそれは、わび、さび、おもてなしにあるのではないかと感じた。

・今日庵(裏千家)http://www.urasenke.or.jp/

3.農業研修、飯尾醸造

 塾主研究の途中に今回は、丹後の地で、無農薬米の田植え研修をさせていただいた。飯尾醸造さんはその無農薬米を使い、本当のお酢を製造することを大切にされている会社である。私の活動テーマに「日本型農業の確立」がある。今回体験および工場見学をさせていただき、正直農業は想像以上にしんどいものであることを知り、新しいものをつくっていく上で要はやはり人であることを身をもって感じさせていただいた。お米をつくるまえに人をつくることが必要かもしれない。

・会社案内(飯尾醸造)http://www.iio-jozo.co.jp/about/about.html

4.松下電器産業、松下電器歴史館、松下資料館

 次に訪れたのは塾主の源である松下電器である。事業部制の導入、数々の発明、週休2日制の導入、水道哲学等々創業者の経営者としての偉大さをお話、資料、ビデオ等で見せつけられた。本当に圧巻である。ここでやはり気になるのはなぜ創業者はここまで松下電器を成長させることができたのかということである。私はここで2つの点から、その一端を感じることができた。1点目は「健康もない、学問もない、帰るふるさともない」というないないづくしの状況だったからこそ、周りの全てのものを師として謙虚に受け止め自分のものにしていけたということ。2点目は、「松下電器は、ものをつくる前に人をつくる会社です。」の創業者の言葉が松下電器を表しているのではないかということである。松下電器は中村社長のもと新たな創造が実施された。その中にも創業者の精神は未だ生きている。それがこれからの日本企業の鍵になる予感を感じた。

・創業者松下幸之助(松下電器)http://panasonic.co.jp/cgi-bin/person/index.cgi

5.修養団、伊勢神宮

 関西研修の最後に訪れたのは、伊勢市にある修養団伊勢道場と伊勢神宮である。修養団は100年以上にわたり「愛と汗」を通じて青少年の教育をしている団体である。修養団において、意義深かったことは、五十鈴川にて身と心を清める「禊」の体験と中山道場主のお話である。中山道場主は、目がみえない状況にあられるが、目が見える我々以上に世間、人間が見えておられ、お話は私の心の奥まで入り込んで清められるお話であった。また、初めて訪れた伊勢神宮は日本人にとって特別な場所であり、やまと魂の根源のオーラを感じる場所であった。しかし、私は出雲人であるので、もう少し理解と研究を進めていかないと心に落ちないと感じた。

 私たちは、日々塾で生活する中で松下幸之助塾主を神扱いにしてしまうことがある。当然それは大切なことであると思うが、しかし、松下幸之助という人間が松下政経塾に何を期待したのかということを考える時、今一度原点立ち返り、松下幸之助がどういう人間であり、何を伝えようとしたのかを真摯に考える必要があると考える。決して宗教に落ちいることなく、「哲学」や「National」の意味さえ知らなかった塾主を素直に受け止め、松下幸之助を自分の腹に落とし、3年間では足りないかもしれないが、松下幸之助塾主の思いを生成発展させ、自分のものとすべく、日々修心しなければならないと感じた関西研修であった。

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塔村俊介の活動報告

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Shunsuke Tomura

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第27期

塔村 俊介

とうむら・しゅんすけ

奥出雲町教育委員会 教育長

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