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100km行軍 感想

 「9人揃って笑ってゴールします。」
これが出発前の私の決意表明でした。

 私たち「ロ組」は「笑組」という別名をつけ、楽しく笑って完歩することを誓い合いました。揃いTシャツの計画やMDウォークマンの準備など、「楽しさ」をキーワードに諸準備にも励みました。

 クリスという愉快な英国ジェントルマンが急遽仲間に加わった事も手伝って、スタートから会話も盛り上がり、「笑組」は順調に、かつゆっくりと歩を進めました。3時間をかけて約10kmを歩き鎌倉の大仏を通過しました。その先ではクリスの所属先である英国大使館日本語研修所の皆さんが、応援に出迎えてくれました。

 その後18時(出発より6時間)で横須賀に入り、19時には横須賀ダイエーにてラーメンの夕食にありつきました。とんこつラーメンに替え玉、更におろしにんにくたっぷり、と空腹も満たし順調に再スタート!
といった具合で順調に進み、この調子なら難無く100kmクリアかと意気揚々としていました。

 しかしながら、最初のアクシデントが21時久里浜で発生しました。私は「楽しさ」の為に、MDウォークマンのみならず携帯スピーカーも持参していました。DJ修吾リーダーは般若心境をはじめ様々な元気のでる(?)MDを作成して持ってきました。しかしながら、いざ音楽を流そうとMDを回してもいっこうに音が出てこないのです!中古で安く買ったウォークマンはこんな肝心な時に限って悪戯をしたようです(帰宅後充電をしたら動きました・・・)。

 二つ目のアクシデントは、予定していた温泉が、なんと到着10分前に閉店していたっ!のです。楽しみにしていた「足湯」にて疲れを癒すことができず、我々5人は虚脱感に苛まれながらとぼとぼと歩き続けることになりました(しかし結果的には風呂に入っていたらゴールには間に合わなかったかも・・・)。

 そして三つ目のアクシデントはその直後に発生しました。「笑ってゴール」の為に持っていた低周波治療器「エルパルス」が、これまた動かないのです。3年ぶりに引っ張り出してきた精密機器はなんと電池から錆を吹いて、使用不能になっていました。

 そんなこんなでボディーブローを打たれ続けた私は、22時三浦に入り、その後40kmポイントを越えた辺りから、目に見えてペースが落ちてきました。足裏の靴ずれと足首の疲労とで、鈍痛が徐々に激しい痛みに進行していったのです。私はチーム内でペースメーカーを担当していたので、「常に殿(しんがり)からペースをつくる」などと考えていたのですが、その頃になるともはや殿も殿、4人のはるか後方をとぼとぼと歩き、逆に皆のペースを遅らせてしまう様にまでなってしまいました。このあたりで、用意周到すぎた私の過剰な荷物は、サポートカーに収容されて行きました(実に助かりました。)

 0時の折り返しで、ちょうど50kmをなんとか通過したものの、あとはもう、1時間ごとの休憩と、約2時間(=10km)ごとのチェックポイントのみを楽しみに、時計とにらめっこをしながら足を引き摺る事しか出来ませんでした。笑顔は消え、笑いも会話も途絶えがちになりました(もっとも、会話もできないほどに、ひとり遅れをとっていましたが)。

 そんな状態でも、仲間の助けと、ポイントごとの先輩によるマッサージに助けられ、なんとか95km地点までたどり着きました。しかしそこから先が、これまでの人生で味わった事も無い苦しみでした。極度の疲労と睡魔に襲われ、「しゃがみこんで5秒あれば眠れる」という状態でした。

 そんな状態で、昼間の街中をとぼとぼと歩き、数ヶ月ぶりに綺麗な姿をあらわした富士山にも励まされながら、なんとかかんとか、足を進めました。残り2キロ、残り1キロと、先輩が声援をかけてくれます。残り時間との勝負にも焦りますが、私の足は相変わらずモゾモゾとしか前に進んでくれません。そんなモゾモゾ歩きで、政経塾(=ゴール)直前で、数分先を行っていたチームの仲間が待ってくれていて、合流する事ができました。

 5人そろった私たちは、横一列、手をつなぎながら笑ってゴールする事ができました。記録は23時間40分。ぎりぎり時間内。最初の誓いどおり私たちは「笑ってゴール」を達成したのです。本当に辛かった。本当に痛かった。苦痛に顔は歪みっぱなしでしたが、最後にゴールを果たした時の「笑い」は本物だったと思います。達成感と開放感、仲間への感謝でいっぱいでした。

 これまでの人生で、大学ラグビー部への入部試験期間の練習に次ぐほどの、大きく困難な障壁が、今回の100km歩行だったと言っても過言ではありません。

 この先様々な困難や苦痛に出会った時に恐らく今回の歩行を振り返るでしょう。そんな時、「あれに比べればまだ楽だな」、という大きな励みになってくれる事と思います。それほど貴重な体験でした。

 今回サポートをしてくださった先輩方、職員の皆様、神山君のご家族、ありがとうございました。

 勇気ある山中君、来年も再挑戦がんばって下さい。サポートします。

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Kiyotaka Takahashi

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