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大日本報徳社

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松下政経塾

2008/10/1

宇都隆史塾生(第28期生)

私は現在、農業を通じて日本精神を覚醒させるための「実践哲学の研修所の創設」を目標にして研修を進めている。農業を通じた実践哲学の先達と言えば、内村鑑三著の「代表的日本人」にも登場する二宮尊徳翁をさしおいて誰がいようか。戦前に公教育を受けたものならば知らない者はいないほど、かの時代の日本人を代表するにふさわしい偉人であると思う。そこで、今回は報徳思想を最も継承しつつ実践に力を入れている「大日本報徳社」を訪問した。

大日本報徳社は二宮尊徳の高弟である岡田良一郎が、故郷の静岡県掛川市にて力強い指導力を発揮して設立し、報徳運動の中核として農村復興に大きく貢献している社団法人である。報徳思想とは、「人間の欲を認めつつ、周囲との調和を図り、道徳(心)と経済(金銭)を同時に満たすための実践哲学」である。(ん?どこかで聞いたような…)写真は大日本報徳社の正門。道徳門と経済門の文字が報徳思想をよく表している。

写真は大日本報徳社の大講堂である。報徳の教えを研鑽する大道場として明治36年に健立された歴史的建造物でもある。現在でも毎月一回(第一日曜)に「常会」という定例会を開き、大日本報徳社傘下の地方報徳会から、報徳思想に共鳴する同志(多くは農業生産者)が集まり、人格の修養に励んでいる。右の扁額には「先聖殿」と記され「故二宮尊徳先生を祀る殿堂」の意。左の扁額には「先農殿」と記され「幕末の農政家である佐藤信渕先生を祀る殿堂」の意。双方共に明治の政治家である秋月種樹(あきづきたねたつ)の筆である。

ちなみに、舞台左袖に見えるのは良く見る二宮金次郎(幼年期)の銅像。貧しい家計の足しにするために薪を拾いながら読んでいる本は、「大学」である。

 

二宮翁が唱えたこの優れた実践哲学は、農村救済という枠を超え、人材教育という面で多くの逸材を生み出した。実際に報徳思想に影響を受けた事業家には、渋沢栄一、安田善次郎、豊田佐吉がいる。そして我らが松下幸之助塾主もその一人である。大講堂後ろにかかる大額には「無尽蔵」と大筆されている。筆は大日本帝国初代総理大臣、伊藤博文の直筆。二宮翁の道歌「天津日の恵み積み置く無尽蔵 鍬で掘り出せ鎌で刈り取れ」からとったもの。

今回の研修を終え、改めて現代の日本人が失った者は精神の支柱であり、国の隅々までに行き渡るような思想の覚醒が必要であることを確信した。

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