山陰地方

風間法子塾生（第26期生）

山陰地方の国際連携は、市でなく県が行っているのが特徴であり、九州の「環黄海」に対して「環日本海」という括りを持ち、ロシア・モンゴル、場合によっては北朝鮮をも含む“北東アジア”が対象であることが特徴である。また、経済分野に重きが置かれつつあるとはいえ、“提携”でなく“交流”が主であり、姉妹都市を軸とした国際交流、国際貢献の色彩が未だ強い。相手側の諸国も、「経済援助の要請」といった位置付けをしているようである。

また、この地域の主要産業が第一次産業であることから起こる、第二次産業が主体である九州とは異なった問題が生じている。しかし一つ参考になるのは、第一次産業であれ第二次産業であれ、「経済格差」は提携の妨げになるどころか、より良い提携関係を結べる要素であるということである。これは、国レベルの経済連携を考えていく際にも応用できる、逆転の発想であると思われる。

そして何よりも心に残ったのは、城の表す土地のアイデンティティーであった。小倉も島根も、城と共に庁舎があった。鳥取もかつての城内に庁舎はあるのだが、そこに城はない。鳥取城の解体は、鳥取がかつて島根県に併合された時期と同じであったらしい。仁風閣にあった説明が忘れられない、「鳥取市民から、心の拠り所が失われた時代でした」これからの「地方の時代」、苦しいときに元気のパワーをくれるのは、城なのかもしれない。