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オンラインイベント「女性の働き方から考えるキャリアの多様性~グローバルで活躍するリーダーからの提言~」開催報告レポート

2022/10/12

2022年7月20日19:00-20:30「女性の働き方から考えるキャリアの多様性~グローバルで活躍するリーダーからの提言~」主催:松下政経塾、後援:神奈川県、協力:willink によるオンラインイベントを開催致しました。

◆第一部:基調講演

基調講演ではユネスコ・アフリカ地域人材開発研究所より横関祐見子氏にご登壇いただき、「アフリカで仕事をする」というテーマでグローバルに自らのキャリアを築かれてきた経緯や挑戦についてお話を伺うことができました。

<基調講演要旨>
1. 仕事と生き方
ビートルズの”The long and winding road”を引き合いに、キャリアも人生も目標はずっと同じではなく脱皮するように変わっていくことを提示していただきました。当初の目標が達成されないときにはもっと別の目標に向かっているかもしれないこと、思い通りにいくときもそうでないときも見直すことや振り返り(Reflect)の重要性について教えていただきました。

2. 教育を通じた平和構築―アフリカでの35年―
横関氏の教育と平和構築のキャリアはアフリカのジンバブエの農村中学校勤務から始まり、40年近く国連やJICAなどの勤務を通してアフリカを中心に活躍されています。キャリアを積み重ねる過程で現場にて目の当たりにした課題、そして国連などの組織への失望もあったそうです。特に当時インフラや農業が中心だった国際協力業界のなかで内政干渉といわれた教育分野においてJICA初の女性国際協力専門員となり専門性を磨かれました。加えて、国際会議への出席では国際協力・開発分野における日本の比較優位を模索しながら外交政策にも携わられました。その後は国連へ舞い戻り、ユニセフやユネスコでのポストを歴任されながら学校にいけない子どもたちや教員開発、直近ではコロナ禍における学校教育に取り組まれています。

3. アフリカとの付き合い方から「共生」を考える
日本の食卓に並ぶ魚介類や農作物はアフリカから来ています。そのような身近な事例を通して、「共生」のありかたを考えていきたいと述べられました。アフリカから日本を見て、日本からアフリカを見ると何が見えてくるでしょうか。違いだけでなく、共通点を見ると様々な共感や感動があります。例えば、貧しい人たちが食べ物を分け与える姿や、アフリカから来日した人々の広島平和式典での感動など多くの共通点から21世紀の共生を考えるための見方をご紹介いただきました。

4. 女性の視点の大切さ
文化や宗教の違いを超えてあらゆるコミュニティに入っていける女性は、研究者や実務者として大きなメリットとなります。そして、ジェンダー平等指数が低いなど、日本と同じような課題を持っている国々と対等に対話を行うチャンスがあるかもしれません。これからの共生に向けて女性の視点の重要性はより高まるでしょうと述べられました。

基調講演途中では横関氏のネットワークが不安定になるなど、オンラインならではのハプニングが起こる場面がありましたが、柔軟にご対応いただき時間内での進行を行うことができました。横関氏のキャリアや生き方に対するご姿勢、そして脱皮するように変化する目標やキャリアの在り方に私たち参加者は感銘を受けました。多様なキャリアを考える1つのモデルをご提示いただき、キャリアを再考するきっかけをいただくことができました。

◆第二部:パネルディスカッション、willink活動紹介

<パネルディスカッション>
パネルディスカッションでは増田美佳氏・サントリー食品インターナショナル、大城美宇氏・住友重機械工業株式会社、坂田健太氏・松下政経塾41期生を迎え「私たちのリアルなキャリア」をテーマにキャリアへの思いやそのモチベーションをそれぞれが発表しました。普段は関わりの少ない業種や職種を超えた人々が仕事との向き合い方や、ライフイベントや環境の変化を乗り越えながらどのようにポジティブにキャリアを受け止めてきたのか、キャリアの捉え方を議論する貴重な機会となりました。



<willink活動紹介>
山田夏子氏・花王プロフェッショナル・サービス株式会社によるwillinkという志を持つ仲間と繋がり社会課題解決への道筋を立てていく団体の経緯や活動について発表いただきました。willinkとは「will(ひとりひとりの志)+link(繋げる)」という願いを込めて設立した団体で、企業で働く女性が中心となって活動しています。中でも、コミュニケーションガイドは性別や属性を超えてあらゆる人が働きやすい環境を目指して製作しました。コミュニケーションガイドには日常業務で起こりうる事例からよりよいコミュニケーションに生かすヒントや気づきが散りばめられています。上司と部下の会話、そしてお互いがどのように感じるかイベント参加者の皆様にチャット機能を通して尋ねたところ、多くの回答がチャットボックスに舞い込んできました。コミュニケーションガイドは実際の体験をもとに作成されていることもあり、多くの方々と課題意識を共有そして共感することができました。企業や研修での導入に向けて今後も活動して参ります。

参加した方々からは「明日から前向きに働く活力となりました」「学びやすい環境を作って頂き、ありがとうございました」などの前向きなご感想から「ますます業務が在宅中心になり、職場のコミュニケーションが薄れている昨今、自分のアンコンシャスバイアスなど相手が見えないだけに気づけていない気がする。自分のためにも皆にも、この働き方がノーマルになった世界として、これからどうなっていくのか考えてしまう。」など今後の課題もアンケートよりご共有いただきました。
引き続き働き方やキャリアの多様性が広がる社会へ向けて問題意識を持ち、志を同じくする仲間たちと活動を継続してまいります。

ご参加いただいた皆様、ご登壇者及びwillinkメンバーの皆様、そしてイベントを行うにあたり、ご指導いただき関わっていただいた関係者の皆様に御礼申し上げます。

willinkでは仕事を通して社会貢献に関心がある方々とご一緒に活動する仲間を引き続き募集しております。

担当塾生:42期生 日野原由佳

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