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新春のご挨拶

2021/1/5

 

あけましておめでとうございます。
コロナ禍という厳しい状況ではございますが皆様お変わりなきことと存じます。

●皆様に感謝
 松下政経塾にとりましても、昨年は実に事多き1年でありましたが、塾生たちは“コロナ何するものぞ”の気概をもって、自ら立てた“志”実現のために日夜研修・研究に励んでおります。
 これもひとえに、カリキュラムの変更等ご無理なお願いをさせて頂いたにもかかわらず、情熱をもって塾生たちのご指導にあたって頂いた多くの皆様のお陰であります。
 大変ありがたく心から感謝申し上げます。

●コロナウィルスの教訓
 一年間にわたるコロナウィルスとの戦いは、私たちに多くの気付きをもたらしました。同時に様々な「発想の転換」を求めています。

 企業経営にとっては、ごく当然であった資本の「選択と集中」あるいは、「グローバル化」戦略もほころびを見せ、大きく舵を切らざるを得ない状況です。また「働き方改革」を制度として導入しても、仕事に対する行動や意識の変化によって、従来「普通」と考えられていた前提条件のままでは細かなところで「齟齬」をきたすことが考えられます。

 「都市」と「地方」の関係においても、変化が起きつつあります。
 人が集まることにより、仕事があり、生産性が上がり、華やかさがあり、更には文化の発信源と考えられ、若者たちを惹き付けてきた「都市」は、その密度の高さゆえ、ウイルスに対する「脆弱性」が露呈しています。今やウイルス拡大の震源地の一つになりつつあります。

 インターネットやオンラインが合理的な形で普及し、最低限の社会インフラが整えば、「都市=都会」より、空気のきれいな「地方=田舎」がより魅力的になるのではないでしょうか。
 
●新しい「日常」
 東京では既に流入と流出の人口比率が逆転しつつあると聞いています。人工的に作られた「日常」から、自然体の「日常」に戻る、新しい「日常」が生まれてくる予兆だと思います。
 遅々として進まなかった「地方創生」にコロナウィルスが一役買いつつあるのは皮肉なことであります。

 人間の生き方や幸せなどに関する「根源的価値観」は不変でありますが「便利さ」など生活に直結した「表象的価値観」は変わりつつあると感じています。

●「緊急性」と「持続可能性」
 日本人は、農耕民族の血を引いているせいか、急激な「変革」や「改革」を好みません。
衆知を集め、自然と対話をしながら、折り合いをつけて生活のリズムを作ってきました。
 しかし、今回のコロナウィルスは、伝染が急激であり、人知をあざ笑うがの如く“変異”を繰り返す可能性があります。
 全てが生命に関わる事象であり、対策は急務であります。「緊急性」と「持続可能性」に分けた変革が求められています。

●新しい「研修体系」
 松下政経塾も変わっていかなくてはなりません。
 リスク回避の意味も含め、すでに「在宅研修」「在宅勤務」を実施し、コミュニケーションツールは原則オンラインです。
 また、ご存知の通り、松下政経塾は、建塾以来「全寮制」を研修の基本においています。
 オンライン研修は、時間と空間を超えた幅広さがありますし、研修のあり方として工夫次第で”新規性“が期待できます。
 「全寮制」の仕組みからは、塾生たちが常に顔を合わせ、議論を交わすことによる「切磋琢磨」が期待できます。
 「わいがや」や「日常会話」の中から無意識のうちに「客観的な自己発見」が出来る事も大きな特長です。
 特に強い”志“を持った若者たちが、同じ屋根の下で日常的に混じり合う「全寮制」は、人間性や同志性を養う素晴らしい仕組みです。

 私たちは、松下幸之助塾主が残された『建塾の理念』をしっかりと守りつつ、「時代性」と「政経塾らしさ」を基本に、オンライン研修と全寮制の良さを生かした「新しい研修体系」を塾生たちと共に創り上げていく所存です。

 厳しい環境が続くと思いますが、今後ともよろしくご指導のほどお願い申し上げます。  最後になりましたが皆様のご健勝を心よりお祈り申し上げます。

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