松下政経塾 The Matsushita Institute of
Goverment and Management

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財団法人松下政経塾設立趣意書
財団法人松下政経塾設立趣意書

 わが国は戦後、経済を中心として、目をみはるほどの急速な復興発展をとげてきた。そして、今や一面に世界をリードする立場にまでなってきたのである。

 しかしながら、日本の現状は、まだまだ決して理想的な姿に近づきつつあるとは考えられない。経済面においては、円高をはじめ、食糧やエネルギーの長期安定確保の問題など国際的視野をもって解決すべき幾多の難問に直面し、また、社会生活面においては、青少年の非行の増加をはじめ、潤いのある人間関係や生きがいの喪失、思想や道義道徳の混迷など物的繁栄の裏側では、かえって国民の精神は混乱に陥りつつあるのではないかとの指摘もなされている。これらの原因は個々にはいろいろあるが、帰するところ、国家の未来を開く長期的展望にいささか欠けるものがあるのではなかろうか。

 そのような正しく明確な基本理念があれば、そこから力強い政治が生まれ、その上に国民の経済活動、社会生活も安心して営むことができ、ひいては国民の平和、幸福、国家の安定、発展ももたらされるのである。従って、今日の国の姿をよりよきものに高め、すすんでは国家百年の安泰をはかっていくためには、国家国民の物心一如の真の繁栄をめざす基本理念を探究していくことが何よりも大切であると考える。

 同時に、そのような立派な基本理念が確立されても、それを力強く具現していく為政者をはじめ各界の指導者に人を得なければ、これはなきにひとしいのである。幸いにして、天然資源には恵まれぬわが国ながら、人材資源はまことに質の高い豊かなものがある。まさに人材、とりわけ将来の指導者たりうる逸材の開発と育成こそ、多くの難題を有するわが国にとって、緊急にしてかつ重要な課題であるといえよう。

 私たちは、このような観点から、真に国家を愛し、二十一世紀の日本をよくしていこうとする有為の青年を募り、彼らに研修の場を提供し、各種の適切な研修を実施するとともに、必要な調査、研究、啓蒙活動を行う松下政経塾の設立を決意した。この政経塾においては、有為の青年たちが、人間とは何か、天地自然の理とは何か、日本の伝統精神とは何かなど、基本的な命題を考察、研究し、国家の経営理念やビジョンを探求しつつ、実社会生活の体験研修を通じて政治、経済、教育をはじめ、もろもろの社会活動はいかにあるべきかを、幅広く総合的に自得し、強い信念と責任感、力強い実行力、国際的な視野を体得するまで育成したいと考える。

 私たちは、この研修によって正しい社会良識と必要な理念、ならびに経営の要諦を体得した青年が、将来、為政者として、あるいは企業経営者など各界の指導者として、日本を背負っていくとき、そこに真の繁栄、平和、幸福への力強い道がひらけてくるとともに、世界各国に対しても、貢献することができるものと確信するものである。

 このような松下政経塾が、広く国家国民の期待に十分応え、積極的かつ恒常的に活動していくためにも、公共的機関として運営推進するのが肝要と思う。よってここに、財団法人 松下政経塾の設立を発起する次第である。

昭和54年1月22日
(注)2010(平成22)年7月より
松下政経塾は公益財団法人に移行しています。
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