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宗家研修
2003年11月

宗家研修感想
谷中修吾/卒塾生

 

 悠久の歴史を刻み、旧き伝統の香りが漂う街・京都。この度訪ねた上京区には、在りし日の京都を想起させる独特の趣がある。木造建築が連なる街並みは、古の都のもつ慎ましやかな表情を湛えている。今日庵。その庵は、静かに佇む上京区・裏千家住宅の一角にある。

 茶室に入り、畳に坐れば、そこに広がる小宇宙。空間内の全てが調和し、一つの形をなしている。極地に達した芸術空間。そこで茶道の心を学ぶ。道を極めた講師を前に、薄茶の稽古が進んでいく。炉から弾ける炭の音。窯から昇る湯気の揺れ。茶器の底を擦る茶せんの音が、茶を待つ耳に心地よい。

 そこに感じた茶道の極地は、宇宙意識との共鳴である。茶室という空間に、体と心を調和させる。その境地に達したとき、人は心に安らぎを覚え、世界との一体感を得るのではなかろうか。茶道とは、宇宙との一体化に至るための一つの道だと感じるのである。

 差し出す茶とは、その投影。人を映し出す鏡である。もてなす人の心一つで、茶の完成度は変化する。全ては人の心次第。そこに、茶道の妙味がある。美味しいお茶をもてなせる、そんな人物になりたく思う。

2003年11月 執筆
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