論考

Thesis

Dream Planet International School 体験入学顛末記

11月22日日曜日、各地から30名あまりの子ども達が沖縄に集結し、世界中から集まった15人のスタッフ候補とともに、第一回体験入学と銘打って遠足に出かけました。主な目的は二つ。
 「学校は楽しいところ!」というメッセージと、この学校のイメージを子どもたちに伝えること。学校の予定地の巨大な植物園を見学し、その後は海辺でのバーベキューです。そして学校のスタッフを子ども達自身の目で選んでもらうこと。子ども達には出発前に、「一人一人にスタッフの配置プランを書いてもらうから、スタッフのどの人がどの役割が合っているか、よーく見て考えてね」とお願いしました。

 11:30,バスに乗って那覇を出発。学校予定地の中西部の海岸へ向かいます。
 まずはバス内ホームルーム。
 私からの今日のお願いは二つ。
 一つ、周りの人に親切にすること。人の気持ちがわかるようになる練習をすること。特に大きな子は小さい子の面倒をよく見ることから始めてほしいこと。
 二つ、色んなことを見て、色んなことを感じること。今日の体験を楽しくするのもつまらなくするのも自分次第。楽しくしたいなら色んなことに対するアンテナを伸ばしてたくさんのことを感じること。
 そして子ども達の自己紹介が始まりました。
 東京、大阪、名古屋、長崎、佐賀、鹿児島、鳥取、埼玉、栃木、松山、沖縄、アメリカ・・文字通り各地から集まってきた子ども達に、「絶対に人の夢にケチをつけない」という約束で、自分の夢を語ってもらいました。みんなが堂々と歌手、ダンサー、花屋さん、スポーツ選手、色々な夢を語る中、びっくりするほど多かったのが、「ドリームプラネットのインストラクターになりたい」という声でした。まだ始まってもいない学校で働きたい、というのです。子ども達がどれほどこの学校に期待してくれているかが伝わってきました。
 そして、バス内イングリッシュレッスン。インストラクター候補、イギリス出身のGさんが英語の簡単なゲームを教えてくれて、子ども達は大興奮です。私とGさんが英語で話すのを見て「英語が喋れるようになりたい!」ともだえる子どもたち。「アコガレ」も立派な学習動機になるのです。
 そして、学校予定地の巨大な植物園へ。南洋植物に囲まれた坂を上がって校舎にたどりつくと、眼下に青い海が広がります。10年間閉園していた植物園の建物は今はまるでお化け屋敷のようですが、それをどうやってピカピカにするかを子ども達にイメージしてもらいました。海の青が映えるように、真っ白にペンキを塗り替えることになりそうです。
 海辺のバーベキューでは、それぞれの子どもが思い思いの動きを見せて、楽しませてくれました。砂浜を舞台に踊り出す子どもたち。靴のまま海にずんずん入っていって、岩場で「化石をみつけた!」子。放っておくと、それぞれの子が色んな才能を見せてくれるのです。

 一番嬉しかったのは、子どもが子どもを教え合う、というこの学校のシステムが、「きっとうまくいく!」と確信できたことでした。それぞれに役割を与えると、ものすごい責任感を持ってその役割を全うしようとするのです。
 入学審査の面接で「体験入学では、盛り上げ役、期待してるからね!!」とお願いしていたRくん。バスの中でも、もう張り切りすぎて血管が切れるんじゃないかと心配になるくらいに周りを盛り上げてくれました。
 一番のりで一番年上、18歳のHくん。本日のリーダーに任命し、「小さい子たちの面倒を見てあげてね」とお願いしたところ、名札に名前を書くところから一生懸命子ども達にローマ字の書き方を教えてくれ、バスの中での自己紹介では先頭に立って司会をしてくれました。
 帰るときに残していった彼の感想。
 「ここならきっと、自分だけの”オンリーワン”が見つかると思う。そして、今日出会ったみんなやこれから出会うであろう仲間や先生方と、日本一いや世界一すばらしい学校を作り上げていきたいと思う。また、最年長ということなので、小さい子のめんどうを見たり、困っている人を見つけたら真っ先に自分がかけつけて手助けしてあげたりと、良きリーダーになれるように努力したい。地元にいた時よりも、なんだか”ピュア”になれた気がする。もっともっといろんなことにトライして、自分をみがいていきたい。
 (ものすごく大きな字で)今日一日、ありがとうございました。」
 友達をつくるのが得意そうなKちゃん。一人でいるのが好きなCちゃんのお姉さん役をお願いしました。Cちゃんが一人で遊んでいたいときには好きにさせておいて、困っているときにはさっと手を差しのべてあげる、そのバランス感覚に感心しました。
 彼女の感想は、「あたたかい気持ちを持てて、これからの自分がたのしみです。」

 肝心のスタッフ選考については、みんなが帰った後に、それぞれのスタッフ配置プランを見せてもらいました。子どもたちは大人のことをよく見ているなあ、と感心したのと同時に、私の判断も間違ってはいなかったんだ、とホッとしました。
 私が「この人には是非、この学校に来て欲しい!」とひそかに思っていた人のことは、子どもたちも、「すごくいい人!」と絶賛します。逆に「ちょっとこの学校には合わないのでは・・」と思っていた人に関しては、「人に対して傷つけるようなことを言う人」という意見が殺到します。
 「ぜひ!!」という声が高かった方々とは、その後すぐに契約をしました。

 あいにくの雨天の下、行く場所や内容が最初の計画とは大幅に狂ってしまったり、小さなアクシデントもあったのですが、そんな悪条件の下でも、子ども達全員に「来てよかった!!」と言って帰ってもらうことができたことが、何よりも嬉しいことでした。
 この子ども達と一緒に、世界一楽しい学校をつくるのが、本当に楽しみです。この子たちに出会って、この期待が、「きっと、できる!」という確信に変わった一日でした。

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白井智子の論考

Thesis

Tomoko Shirai

白井智子

第16期

白井 智子

しらい・ともこ

NPO法人新公益連盟 代表理事

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教育・ソーシャルセクター

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