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2017年7月

実践活動報告 ―地方におけるテクノロジー活用の期待と可能性―
岡田吉弘/松下政経塾第35期生

地方におけるテクノロジー活用の期待と可能性は、高まっている。困っている人のため、地域の課題解決のためのテクノロジー活用の先進事例をつくっていく。

 

はじめに

 少子高齢化によって、地方の自治体経営はますます難しさを増していくことが予想される。そのような時代において、テクノロジー活用の期待と可能性は、ますます高まっていくことは間違いない。つまり、高齢化や過疎化が進んでいる地域において、生活の質をこれまで以上に向上させ、誰もが安心して暮らせる地域づくりを進めていくためには、テクノロジー活用に目を向けることが必要不可欠である。

①テクノロジー活用は時代の潮流

 IoTやロボットのテクノロジー活用は、いまさまざまな業界で進められている。技術導入をはじめとする取り組みは、メディアで目にしない日はないほど目まぐるしく進められ、働き方改革とも関連づけて語られる生産性の向上や経済効果が期待されている。また、国、自治体、民間企業が保有しているデータを活用することで、サービスを創出していく官民データ活用推進基本法が制定され、人々の生活に直結をする医療や災害対応の分野においてもオープンデータの活用の期待が高まっている。

 先日は、官民データ活用推進基本条例が議員立法により制定された横浜市において、ICT政策提言をまとめるワークショップに参加した。CODE FOR YOKOHAMAが主催する本イベントは、民間企業はもちろんのこと、行政機関や大学など、各分野のプロフェッショナルが集い、「技術駆動都市ヨコハマ2030」の提言がまとめられた。横浜市は、これまでオープンイノベーションの取組みを地域として推進してきた背景があり、スタートアップをはじめとするICT活用や実装の担い手が豊富に存在していることが強みである。今後も、横浜市のような先進事例が全国的に波及し、地域の課題解決に向けたテクノロジー活用が進められる。

②テクノロジー活用のすそ野は広がっている

 実践活動では霞が関・永田町を活動拠点としつつ、定期的にふるさと・広島に戻り、地方の可能性と今後の将来展望について研究を進めている。都市部や田舎では、技術の活用方法こそ違えど、さまざまな現場にニーズがあふれていることを実感する。理由は、スマートフォンやタブレットPCの普及に伴い、テクノロジーが身近になってきていることと、技術による解決可能な現場課題が豊富にあることである。

 先日は、広島のIT系スタートアップの会社を訪問させていただいたが、コミュニケーションロボット・SOTAが迎えてくれた。

「岡田さん、今日はようこそおいでくださいました。IoTはロボットの僕からみても、これからのビジネスを一変しそうな気がしております。どうぞ引き続きよろしくお願いいたします」

 このようなパフォーマンスは、現状は現場での実務的な活用とは一線を画すものではあるかもしれないが、ロボットを動かすためのソフトウェアも発展し、思いもよらなかった使途で、ロボットが活用される時代が来ているのである。

 ドローンのようなテクノロジーもその飛行は容易なものであり、インストラクターから指導を受ければ、容易に自由に飛行させることができる。先日は、蜂の巣の観測のために、ドローンを飛ばす現場に立ち会った(図1)。蜂の巣は家の二階の軒下にあることが想定されたが、人の手が届かない場所に、ドローンを飛行させることで観測を行った。ドローンを活用することで、蜂に刺されるリスクを回避した面白い活用方法である。このようにテクノロジー活用が身近になることで、地方にはそのニーズがあふれていることを実感する。


図1.ドローンによって蜂の巣の場所を観測

③地方からテクノロジー活用の人材を育てる

 デジタルものづくり技術も注目を集めている。3Dプリンターやレーザーカッターのようなツールを使うことで、周りがあっと驚くようなものづくりが、誰でも楽しんでできる身近なものになってきている。松下政経塾説明会の参加者に記念品として、塾章を刻印したキーホルダーをファブラボで制作した(図2)。東京をはじめとする都市圏には工作機械を集めたファブラボが多く存在し、それらを利用する人も近年増えてきており、新たなデジタルものづくり技術を活用するコミュニティーがファブラボを中心につくられている。

 ファブラボのような都市部のテクノロジー活用の取り組みや身近さと比べれば、地方はまだまだ心もとないのが現状である。都市部と地方ではマーケットサイズの違いが明らかであるために、地方でファブラボのような取り組みを広めていくことのハードルは高い。しかし、前述したように地方もテクノロジー活用の必要性は増していくため、地方でテクノロジー活用の担い手を育てること、つまり、人材を育てる仕組みづくりを行うことの必要性を感じている。

 そのためには、大学をはじめ各種機関との連携をはかって、地域の総力を引き延ばしていくことが重要になる。現在、大学法人福山大学、民間企業・インタロボット社とともに、子どもたちがテクノロジーに触れられる現場をつくるべく準備中である。まずは、ワークショップ形式にて実践を積み重ねたいと考えている。それによって、テクノロジー活用のコミュニティーづくりにつなげていきたい。地方だからこその課題や地方だからこそできること、さまざまなことに直面しつつも、今後の展開を進めていきたい。


図2.レーザーカッターで制作した記念品

さいごに

 ロボットや人工知能の進歩発展にともない、機械との共生が時代として到来することは間違いない。機械により仕事が奪われる、という発想を乗り越えて、正しい社会通念に基づく機械の活用によって社会貢献を果たしていく、という考え方を育てていきたい。新たな社会の創造に貢献していくべく、私なりの貢献を果たしていきたい。

2017年7月 執筆
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