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2016年10月

研修レポート

実践活動報告 地域づくりは人づくり ―ロボットづくりを通した人づくり―
岡田吉弘/卒塾生

実践活動をスタートさせて、瞬く間に半年が経過しました。志実現に向けて精進しますが、七転八倒の日々です。根気強く引き続き頑張ります。

 

はじめに

 奈良先端大ロボティクス研究室での3ヶ月間の研究成果を、9月に山形大学で開催された日本ロボット学会で発表する機会をいただいた。これを一区切りとして、関西での研修および研究をまとめた。本稿では、ロボットづくりを通した人づくりの研究について述べる。

1.ロボットを現場で活用するために

 現時点、ロボットの現場活用でもっとも成功している事例は、製造業向けロボットであると言える。工場での単純作業がオートメーション化に適している等、成功要因は多岐に渡るが、着目したい要因の一つは、製造メーカーの生産技術部門等の部署が、自分たちの現場に必要なロボットを自ら実装していることである。これはつまり、ロボットのユーザーがロボットを実装しているという見方ができる。
 超高齢社会では、製造現場だけでなく医療や介護などサービス分野でのロボットの現場活用が期待されるが、ユーザーの求めているロボットをユーザー自らつくることが、社会実装の近道と考える。これには、現場の課題を深く理解し、かつ、技術的にロボットを実装する人材の育成が求められる。

2.ロボットづくりを通した人づくりの展開

 2020年には、小学校のカリキュラムにプログラミング教育が必修化される。世界中でプログラミング教育ツールの開発が進められ、民間企業の参画も目覚しいものがある。第四次産業革命時代において、ロボットやIoT (Internet of Things) の技術創出と活用の担い手を育てることこそ喫緊の課題である。
 ロボット教材は、ハードウェアのものづくり教育と、ソフトウェアのプログラミング教育の両方を同時に学ぶことができるため、学び多き題材である。子供たちの工夫や考案が目に見える形で、ロボットの動きとして現れることは好奇心をそそるようで、何よりも楽しいということは、子供たちの笑顔や真剣な表情を見れば、一目瞭然である。私もロボット教室のお手伝いをさせていただいているが、試行錯誤の末にロボットが組みあがり、それが動いた時の子供たちの笑顔ほど素敵なものはない。
 ロボットコンテスト (通称ロボコン) をはじめとするロボットづくりの競技会は、国内に多く存在する。その中で、ロボカップジュニア関西支部の大会を見学させていただいた。ロボットがサッカーをする、という競技会であるから、競技自体も見ていて実に面白く、子供たちだけでなく、多くの大人も応援に駆けつけて、大会は盛会であった。
 子供たちのロボットづくりを支えるのが、ダイセン電子工業(大阪日本橋)のロボット講習会である。定期的に講習会を、参加費無料で開催している。驚いたのは、ロボットづくりは、子供たちの考案や発明にゆだねられ、どうしてもわからないことだけ大人に質問してアドバイスを求める。主体性や自ら考える力を育てるべく、あえて大人は「不親切」に接しているのである。また、チームメートとコミュニケーションを図ること、さらに、大会までのスケジュールを逆算してのマネジメント能力を養うことを目指しているため、ロボットづくりを通した人づくりの可能性を強く感じた。


図1 ロボットづくりに励む子供たち(ダイセン電子工業のロボット講習会)

さいごに

 ロボットは、医療や介護、インフラ点検や災害対応など、これからの地域やまちづくりを担う技術である。現在、私は、ロボットの社会実装やロボットの研究者や技術者の人材育成を目的とするワールドロボットサミット(経済産業省およびNEDO主催)の開催準備の事務局に携わらせていただいている。2018年にプレ大会、2020年に本大会が開催される本事業には、ジュニア部門の競技会の開催が決定しており、ロボットづくりを通した人づくりの全国的な展開に微力ながら貢献をさせていただきたいと思っている。

2016年10月 執筆
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