松下政経塾 The Matsushita Institute of
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2016年7月

研修レポート

実践活動報告 ―期待されるロボット?懸念されるロボット?―
岡田吉弘/卒塾生

奈良先端大ロボティクス研究室での三ヶ月間の学びについて、ご報告いたします。

 

はじめに

 実践課程に入り、四ヶ月が経過しました。すべてを自らコーディネートし、いままで培ってきた知識や知恵を最大限に発揮する日々を送っています。
 私は、日本の新しいものづくり産業の創出を目指し、ロボット業界に着目しています。真の繁栄のために日本社会はいかにロボットを活用していくべきか、という視点で研究を進めています。

奈良先端大ロボティクス研究室での学び

 五月から七月までの三ヶ月間、奈良先端大ロボティクス研究室でお世話になりました。
技術の目利きができる研究者や技術者や学生の皆さまと、ロボットの技術的な可能性とこれからの展望について意見交換し、学ばせていただきました。

 新聞やネット上の記事で使われている「人工知能」という言葉は、研究者や技術者にとってはきわめてあいまいで、いったい何を示して人工知能と定義しているのか、よくわからないという声をよく耳にします。人工知能という言葉を書籍や記事のタイトルに盛り込めば販売部数は何割伸びるのか見当が付きませんが、世間のブームが先行し、誤解も生まれているという面があると言えます。

 そのようなギャップを埋めていくためには、人工知能に限らず、技術に対する正しい理解を深め、身近なものにしていく必要があります。そのために、理科教育の重要性を考え、より充実させる方向性について、理系学生の皆さんと全部で三回のワークショップを実施しました。理系学生の皆さんとブレストをして議論し、理科教育の提言のアイデアをまとめるにいたりました。具体的には、理科系の仕事は、社会を支える縁の下の力持ちであり、理科で学ぶことがどのように社会の役に立っているか、実感と感動のともなう体験が広がる必要があるなどのアイデアがあがりました。まだ、たたき台の段階で、さらなるブラッシュアップが必要ですが、私自身の役割は現場の声を吸い上げ、政策等への提言につなげることであることを学びました。

 もちろんロボットに夢を抱き、その可能性に期待が集まることはとても素晴らしいことですが、一方で、これを一時期のブームとして過ぎ去らないよう、私にできる役割を果たしていきたいと考えています。


奈良先端大小笠原司教授と実験室にて

何のためのロボットか

 安倍政権が行ったロボット革命実現会議がとりまとめた、ロボット新戦略をもとに、具体的な動きが活発になってきています。
 私は、何のためのロボットかというテーマで、関西圏を中心に、研究者や技術者はもちろんのこと、政治家、政府関係者、社会学者、介護関係者、お寺の和尚さままで、幅広く意見交換の機会をいただきました。

 あらためて感じたことは、ロボットに対して抱く期待や懸念はさまざまです。人間の行為をロボットが代替する上で、行為の意義をどのように考えるか、また、ロボット代替の是非をどうとらえるか、それぞれ異なります。具体的には、最近話題に上がった家庭用のお料理ロボットに関して、「料理は相手を思う心が大切であり、ロボットにこれは不可能」という否定的な意見もあれば、「料理中の匂いは安心感を与える。買ってくるお弁当にはない魅力」という肯定的な意見もありました。
 ロボット活用を前提で考えるのではなく、あらためて何のためのロボットかという視点から議論を行い、共創のパートナーを得て、ロボットの利用者と供給者がインタラクティブに共同してロボットの開発を進めていく必要があると感じています。

さいごに

 人間とロボット、これは長い歴史を持つテーマですが、私は、人間とロボットが“共生”することで、「人間性を発揮できる社会」を創造したいと考えています。すなわち、ロボットは使い方次第であり、よりよい共同生活のためという基本的な考え方と願いのもとにロボットを活用し、働き方や生活に余力をもたらすことで、人と人をつなぐ社会です。引き続き研究を進めていきたいと思います。

2016年7月 執筆
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