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100km行軍レポート

 今年の100km行軍は10月7日、8日にかけて行われた。当日は絶好の行軍日和。以下の3チームに分かれ行軍を行った。

い組 内田、堀塾生、ゲラン・インターン生
ろ組 片山塾生、杉島塾生、西野塾生
は組 岡山政経塾、米国大使館ジェンクス氏、石井塾生、千葉塾生

 い組のリーダーは内田、ナビゲーションは堀塾生、ペースメーカおよびタイムキーパーはゲラン・インターン生という布陣にした。チームの方針は「明るく元気に」、私の個人的な方針は「技術的なことは二人に任せ、とにかくチームの健康管理と雰囲気づくりに徹する」とした。

 体力に自信のある我が「い組」は50kmを過ぎるところまで順調というよりむしろ、非常に速いペースで進み、過去の最速ペースより速いペースだった。若干の不安もあったが、おそらく0時手前ごろにペースダウンをするだろうから、そのとき改めてペースの見直しを図ればいいと、その程度に考えていた。しかし、この見通しは甘く、ペースダウンどころではなくゲランインターン生が60km地点で体調不良を訴え、また同じ地点を過ぎたころ堀塾生も体力的にピークを越え、チームのスピードは24時間のゴールすら危ぶまれるペースとなった。いくら両人に任せるといえ、投げっぱなしになっていたこと、なぜ早すぎると感じた時にスピードを落とさなかったのか、あれほど張り切ってこの行軍に臨んだが、今となっては非常に恥ずかしい、両人に大変申し訳ない、自分はリーダーを務める資格はない、と後悔と忸怩とした思いを引きずって歩いていた。とはいえ、こういう状況になってしまったのは仕方がない、とにかく時間に間に合わなくとも、全員無事に完歩できることに集中しろと、自分に言い聞かせ言い聞かせ歩いていたが、すぐに「なぜなぜなぜ」の思いに支配され、重い脚をひきずるしかなかった。「は組」とはもとより差がひらいていたが、「ろ組」からも大きく遅れをとる。後半は深夜もまわり、重く、暗く、精神的にも肉体的にも辛い時間だった。

 ところが後半80kmを過ぎて、体調不良を訴えていたゲランインターン生が提案をしてくれた。「このままでは時間内にゴールできない。」私とゲランインターン生のやりとりを黙って聞いていた堀塾生は、非常に痛んでいたであろう脚を引きずって歩いていたにも関わらず、小走りになっては歩き、小走りになって歩きを繰り返し、ペースを上げてくれ、ゲランインターン生もペースメーカとして先頭からチームを引っ張ってくれ、諦めつつあった時間内のゴールに希望が出てきた。両人の頑張りのおかげで、90km手前で「ろ組」にも追いつくことができ、最終的には「い」「ろ」の両チーム時間内の同時ゴールを果たすことができた。最後にチームの息を再生してくれた両氏に大変感謝し、自分のふがいなさを反省する次第である。

 今回の100km行軍を通じてリーダーの役割について改めて考えさせられ、自分の力量の程度もよくわかり大変勉強になった。リーダーは最悪のシナリオを想定し、その最悪のシナリオの回避につとめなければならない。そして、万が一最悪のケースとなった場合の対処法についても考えておかないといけない。私はその両方とも行っていなかった。当然だが、チームをだめにするリーダーはリーダーの資格はない。100km行軍は、一人で歩くことは一面、チームで歩くよりも簡単かもしれない。たった3人という小所帯のチームでも100km行軍という条件をクリアさせることがいかに難しいのか、身にしみて感じることができた。会社、軍隊、国家のリーダーはこの程度ではすまない。人の生活、生命がかかっている。この100km行軍で明らかになった自分に足りない部分をこれからの研修で身につけていきたいと思う。自分に足りないものを知ることができた、という意味でも非常に貴重な経験であった。

 最後に、今回の100km行軍に臨み各自辞世の句を詠んだが、私は以下の通りである。

「一草よ 武運及ばず敗れるとも 叢に尚湧く大和魂」
武運も念入りな備えがあって初めて与えられると、今そう思う。とにかく、大過なく全員無事ゴールできたこと、本当によかった。これもひとえにサポートしてくれた先輩や塾スタッフ、応援をしていただいた塾員や、家族のおかげです。心から感謝いたします。P.S.となりますが、途中おいしいカレーをもって応援に駆けつけていただいた堀塾生のご家族に感謝申し上げます。

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内田直志の活動報告

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Tadashi Uchida

内田直志

第31期

内田 直志

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福岡県みやこ町長/無所属

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