論考

Thesis

こどもゆめクラブ構想1

フェロー審査の時点では、養護施設入所児童に対して4つの支援活動(進学支援活動、 代弁活動、広報活動、啓発・教育活動)をしていきたいと考えていた。これまでに約40 0人の方々にこの支援活動構想について話してきたが、しかしそれが果たして本当に養護 施設入所児童に対して的を得た活動なのかを検証するために、今月は大学教授、養護施設 長、一般人の方々に意見を伺った。

まず初めに、月初めに駒澤大学の高橋重宏教授に相談に行ったところ、趣旨と活動に深 く理解を示しくれる。高橋重宏教授は、特に日本では子ども達への権利擁護活動、具体的 には子ども達の意見を尊重したり、保障したりする取り組みが諸外国に比べてみても大変 に遅れている。そういったことからすると、君の考えている活動の中の代弁活動は大変重 要になってくるし、子ども達の福祉に関わる養護施設業界でも取り組んでいかなければな らない課題の一つであるし、是非ともやって欲しい。

しかし、このことに対する養護施設業界の意識や取り組みは極めて低いことと、君1人で やらなければならないので、初めから大きな活動を目指さずに小さいことからコツコツと 焦らずにじっくりと慎重に取り組まなければならならないと言われる。

 当面は、代弁活動は将来的な活動として考え、変わって大学進学児童に絞って活動を進 めていった方がいいとアドバイスを頂く。この支援活動に理解を示されて、支援して下さ る感触を感じた。

 その後、都内の養護施設の大物施設長2人と会い相談をする。2人とも理解を示してく るものの代弁活動については、まだまだ施設長はじめ現場の意識が低いので、もう少し様 子を見てから進めた方がいいとの意見が出る。しかし1人の施設長は、全体的に私の支 援活動に好意的で協力姿勢を示してくれる。一方の施設長は、全体的に静観している印象 を受ける。

 施設長2人とも、代弁活動に慎重な姿勢を示しているのは、私が考えるに、私が子ども 達の代弁活動と称して施設に立ち入りして調査や聞き取りなどをすることにより、仮にあ る施設で子ども達への取り組み方が悪いと判断され、その結果を監督省庁へ連絡され指導 や場合によっては活動停止命令でも通達されたら、施設にとっては死活問題になってしまうためなのではとないか思われる。

 また、一般の方にも何人かに聞いたところ、いくつかの支援活動を訴えて行くよりも、 一つに的を絞った方が一般の方にはわかりやすく、援助をしやすいし受けやすいのではな いかとの意見が多かった。

 月末に再び高橋教授にお会いして支援活動について相談する。前回同様の意見であった 。今年の10月19日にこの支援活動に関連したイベントを駒澤大学で開催することを決 めた。内容は今後詰めていくことにするが活動が一歩前進する。

 このほかにも何人かに意見と聞き、またこれまでの意見を踏まえて思うことは、支援活動を一つに絞った方がいいということ。当面は、大学進学支援活動に的を絞って構想や準備を進めていきたいと考えてている。

 来月は、塾報執筆が控えているので支援してもらえそうな内容のものを書けるよう頑張りたい。
 また、京都政経塾でこの構想に関する講演があるので、養護施設の実状を知ってもらえるように努めたい。

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草間吉夫の論考

Thesis

Yoshio Kusama

草間吉夫

第16期

草間 吉夫

くさま・よしお

東北福祉大学 特任教授

Mission

福祉。専門は児童福祉。

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