研修活動塾生による、現在までの研修活動を一部ご紹介いたします。

2019年 4月

研修活動3・4年目 ワシントンD.C.での研修について

小野寺栄/松下政経塾第37期生

ワシントンD.C.での研修について[1] ワシントンD.C.での研修について[1] ワシントンD.C.での研修について[1]
日本で地方自治研究を行ったのち、2018年9月より米・ワシントンDCの下院議員事務所でフェローとして従事しながら、アメリカの市民活動や住民自治について学んでいます。そして、外交のみならず、産業・経済政策やビジネスなどあらゆる分野で日本に大きなインパクトをもたらす超大国アメリカの政治・社会構造も併せて勉強しています。
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東日本大震災の復興過程で、地域ごとの事情や現場の声が反映されないまま復興政策が推し進められたことに問題意識を持ちました。市民やコミュニティレベルでのgrass-roots(草の根)の政治参画による持続可能で個性豊かな地方政府を実現することが私のテーマです。昨年9月から、制度と社会文化の両面がどのように市民活動に影響を及ぼしているのか理解するために、住民自治の先進国と呼ばれるアメリカに渡りました。
 
現地では、アメリカ政治学会(APSA)が主催する1年間の連邦議会フェローシップに参加しています。アメリカ政治を理解するためのイントロダクションとして約3か月に亘ってジョンズホプキンス大学院での講義、オリエンテーションを受講しました。
 
今年3月からは民主党の下院議員Henry. C .Johnson(GA04)の事務所でフェローとして業務に携わっています。事務所での私の主な業務は有権者への対応と各市民活動のリサーチです。
 
議員の選挙区であるジョージア州4区の有権者からは日々、数多くの要望や意見が寄せられ、その内容は実に多岐に亘ります。祖国を追われアメリカへの定住を望む移民の女性、息子が精神病院に入院するも保険が適応されず医療費が支払えない男性、60歳を過ぎリタイアしてもなお学費ローンの支払いが終わらず生活に苦しむ高齢者など、様々なケースに対してアシストできる法律・法案があるかどうかを調べ上げ、ない場合はスタッフと相談しながら現行の法案に盛り込む余地があるかどうかを検討します。“Taking Care of Home First”を方針として掲げる当議員事務所は、両院合わせて535ある事務所の中から6つしか選ばれることができないConstituent Services Awardのファイナリストとしてノミネートされるなど、たとえ小さな声であっても市民の意見に真摯に対応し、政策に反映させることに全力を注いでいます。
 
また、「小さな政府」の政治形態をとるアメリカでは、行政と協働しながら市民活動が社会を動かし、仕切っているといっても過言ではありません。各分野の市民団体やプログラムに対し、Authorization Billと呼ばれる法案を通すことで公的承認を与え、政府予算をつける権限が議会に与えられています。いわば「政府からのお墨付き」を貰うことによって、予算も集まりやすく、また一過性の活動ではなくより持続的なものとしてアメリカ社会にその活動が広く浸透することになります。法案を検討するにあたって、各市民活動に関するリサーチ業務を行い、社会の動向を勘案しながら議員がどう支持するべきか、または支持しないか検討していきます。
 
アメリカ国内の政治の現況としては、政局・政策ともにやはり2020年に行われる大統領選挙を前提として様々な事が動いています。前回、旋風を巻き起こした上院議員バーニー・サンダース氏をはじめ、例年より数多くの民主党系候補者が名乗りを上げるまさに混戦状態。誰が民主党候補者となるか現時点では全く予想がつきません。ロシア疑惑をはじめとするスキャンダルの追及でトランプ政権を追い込み、有利な体制のまま選挙戦へ持ち込もうというのが民主党の狙いですが、南部の保守地域をはじめ未だトランプ氏への支持基盤は根強く、その勢いは衰えていません。政策面では、メキシコとの国境の壁建設費用を確保するために非常事態宣言を発令するなど極端な保守政策を続行するトランプ氏に対し、民主党も急進的な環境政策を含む“グリーンニューディール法案”を唱えるなど、イデオロギーをめぐる社会の分断と対立は深まるばかりです。加えて、2020年に向け自らの政治手腕を国内外にアピールしたいトランプ氏は、北朝鮮の非核化に向けた首脳合意や米中貿易摩擦の交渉に意欲的に取り組むなど外交政策に注力していく考えです。
 
アメリカでの研修も折り返しを過ぎ、残り5ヶ月となりました。引き続き、連邦議員事務所での経験を通して自らのテーマを深めるとともに、政治の中心であるワシントンD.C.において、日々目まぐるしく変化する世界を俯瞰し、その中で自分に何ができるのかを問う時間にしたいと考えています。
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