研修活動塾生による、現在までの研修活動を一部ご紹介いたします。

2018年 5月

研修活動3・4年目 地域におけるボランティア活動の心得

土屋正順/松下政経塾第36期生

地域におけるボランティア活動の心得[1] 地域におけるボランティア活動の心得[1]
会社や学校とは異なる地域という活動の場。そこには毎月の給料や勉強の成績といった評価基準はない。それは、地域における有志の活動の醍醐味の一つである。しかし、一方で、そのことが地域活動における難しい課題にもなることがある。
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 これまで私は、地域で活動するさまざまな団体に参加してきた。環境分野、教育分野、スポーツや趣味の分野から伝統行事まで、地域で活動する有志の団体は実に多様である。私自身も自分の暮らす地域の仲間たちと一緒にサークルを結成し、月に一度のイベントを主催してから5年が経過する。それもこれも学生時代に経験をした地域のボランティア活動によって、そこで得る人と人同士の縁に大きな魅力を感じてきたからだ。何より、地域での活動は、そこで暮らす人々にとって有益な機会を提供する大きな可能性を秘めている。人によっては、その活動の場が自分の特技を発見する場となり、チームの中で大きな役割を果たす場となり、人の縁を得る場となる。そこが自分と他者、自分と社会を結ぶ大切な居場所となることもある。
 
 地域活動に参加する人は十人十色だ。これまでの人生の歩み方も違えば、考え方、価値観、習慣も違う。有志の団体では、こうした違う個人同士がやりがいや楽しみといった、自分なりの参加意義を持ちながら活動することになる。自分とは違う経験を持つ人々との出会いを通じて、多様な考え方や習慣に触れることは、地域活動の醍醐味の一つだ。しかし、それゆえに、活動者同士の小さな衝突や他者の習慣にストレスを感じる人も少なくない。また、地域活動は企業の経済活動とは異なり、私的な利潤の追求や賃金を得るといったことが、参加者の活動の動機づけにならない。その点で、より参加者同士のチームワークをどのように維持していくのかが、自由意思による参加が前提の地域活動では大きな課題となることがある。せっかく活動に対して想いや楽しみを持って集った人々である。その中で不和が起こり、その集団の活動が頓挫してしまうということは無いほうが良いに決まっている。
 例えば、メンバー同士の連絡手段ひとつをとっても、新しいものに好奇心が強い人からは最新のアプリを使用したらどうか、という提案が出る。ところが、新しいものは苦手という人も出てくる。セキュリティの面で心配をする人もいる。この場合、会社であれば、給料をもらっている手前もあるし、会社が指示する新しいシステムには従うべきかもしれない。企業にとっては、社内の業務連絡ひとつを取っても、生産性を意識して高めることは大切なことだ。しかし、これが地域での活動になった場合はどうであろうか。生産性や効率もある程度は重要であるが、一番大切なことは、参加する意志のある者を誰も排除しない、という考えの方が優先順位として上にくる。お年寄りから若者まで、実にさまざまな人が集うことは尊いことではあるのだが、賃金のためではなく、自由意思による人同士の営みでは、こうした小さなことでさえ慎重に対応していく必要が生じるのである。
 
 私は今、多くの方々と活動を共にする喜びと、それに感謝する毎日を送っている。その中で、自由意思による地域活動特有の難しさに直面することも多い。まずは、こうした実情に沿って一つひとつ、活動に参加する者同士で共有すること。こうした小さな摩擦を円滑に解決していく方法を参加者同士で話し合い、知恵を絞り、思いやり合うこと。こうした細かい配慮こそが、活動の中ではとても大切になってくる。時に、省きたくもなるようなことでもあるが、これが地域の自由意思に基づく活動にとって欠かせない心得の一つであり、地域の人々が生き生きと活動するためには、効率が悪くてもコツコツと人と向き合っていくことが必要だ。また、そういったことこそが地域活動を通じた人間同士の深い交流に繋がるのではないだろうか。
 社会の中で、営利を目的とした働き方には生産性を重視することが重要である。しかし、住民同士の地域活動という場では、必ずしも生産性や効率性だけが大切になるわけではない。むしろ、共同作業の過程における人間同士の交流が優先順位として上になる。そうした心得を意識しながら、今後も地域活動に率先して汗をかいていきたい。

2018年 4月

研修活動3・4年目 実践活動報告1 -ポスト復興のまちづくりとは-

小野寺栄/松下政経塾第37期生

実践活動報告1 -ポスト復興のまちづくりとは-[1] 実践活動報告1 -ポスト復興のまちづくりとは-[1]
いよいよ実践課程がスタートしました。震災から7年が経過した東北被災地においては「ポスト復興」のためのまちづくりの視点が求められています。
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 私は3.11での被災体験を契機に、将来の故郷の繁栄に貢献したいという志を抱き、松下政経塾に入塾いたしました。現在は、地元である宮城県気仙沼市における課題と展望を自ら掴むために有識者へのヒアリング等に加え、被災地の産業現場における実地調査などといった研修を行っています。
 
 国内外からの多大なるご支援により、震災から7度目の春を迎える被災地では確実に復興の足音が聞こえはじめています。各市町村によって進捗に差があることは確かですが、とりわけハード面に関しては復旧整備が進んでいます。2018年2月末時点で災害公営住宅については全体の96%が、高台移転については91%が完了しました。
 
 一方で、現地現場では「被災地」というより「地方」ならではの問題が噴出していることも確かです。震災以前から少子高齢化や産業衰退といった社会課題が先行していた被災地では仮設住宅における高齢者の認知症の進行や孤独死の増加、産業の後継者不足や雇用のミスマッチによる若者の人口流出など、まさに日本の縮図のような問題が山積しています。
 加えて、復興の長期化がそれらの現象に拍車をかけ、地域の活力を奪っていることも否定できません。防潮堤や災害公営住宅、架橋、高速道路などといった震災前にはなかった立派な公共財が多数作られているものの、将来はそれらを使う住民が大幅に減少し、維持管理コストの負担が莫大になるという議論もあります。少子高齢化→地域経済の停滞→人口流出・・・といったいわゆる「ジャパン・シンドローム」が被災地においては顕著であり、ポスト復興を見据えたまちづくりにおいてはこの負のスパイラルを打開する視点が必要と言えます。
 
 引き続き、塾生として「着眼大局、着手小局」の視点を見失うことなく地域内のみならず幅広く先進的学びや実践の場を求めていきたいと思いますので、皆様のご指導ご鞭撻のほど引き続きよろしくお願い致します。
研修活動3・4年目 同盟国視点で眺める日米同盟と、日本の立ち位置(1)

深作光輝ヘスス/松下政経塾第36期生

同盟国視点で眺める日米同盟と、日本の立ち位置(1)[1] 同盟国視点で眺める日米同盟と、日本の立ち位置(1)[1]
私は現在米国、ワシントンDCの議会で政策担当フェローとして議員事務所で研修しています。2009年から3年間在外公館派遣員として在米日本国大使館で勤務し、その時の体験がきっかけで志を抱き入塾いたしました。実践活動では志の原点、ワシントンで研修をしようと決意し、政経塾生という立場で6年ぶりに米国首都に戻って参りました。
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<トゥルシー・ギャバード(Tulsi Gabbard)下院議員事務所でのフェローシップ>
 
2018年2月より米日議員連盟(コーカス)、外交・軍事委員会に所属するギャバード議員(ハワイ2区選出・民主党)の事務所で外交政策担当フェローとして政策業務に従事しています。もともと国務省職員が担当していた分野をそのまま引き継ぐ形で、アジア・太平洋地域、中東情勢などをカバーし、議員の外交委員会での発言の準備・事前レク、来訪する各国大使や閣僚などの事前勉強会に加え、関連法案の事前調査と議員が法案に賛成・反対を示す上で必要な調査・情報提供等を担当しています。
当事務所では外交・軍事分野を私と他2名の軍人(海兵隊現役・海軍予備役)で担当をしており、専門性がオーバーラップする分野においては意見交換をしながら業務にあたっています。
 
こちらに来て、驚いたことは下院議員スタッフの担当する分野の広さです。一般的に下院では1人の議員に対し10名程度のスタッフが配置されていますが、他方、上院では1人の議員に対し40名程度のスタッフを抱えている事務所もあり、上院では1スタッフが専門分野を狭く深く担当するところ、下院では広くかつ深く追求することが求められます。
私自身、アジア太平洋地域の外交を担当していますが、時に国際的枠組みで取り組む環境問題や、女性活躍に関する案件がデスクに置かれ、議員に対しレクをするために丸一日かけて勉強することもしばしばです。これらの作業を通し、各分野に対する理解が深まるとともに、米国が外交の間口を広く持つことで各分野において自国のプレゼンスを国際的に高めようとしているということを強く感じます。
 
研修でワシントンに来た大きな理由は、日米関係を米国の視点で眺め、日本が米国議会の場でどのように扱われ、どのような役割を求められているのか、米国の国際戦略の中でどのように位置付けられているのかを理解するためです。
日米同盟は我が国の外交戦略の前提として当然の如く語られており、一般的に日本にとって米国が重要なパートナーであることを理解してはいるものの、なぜ米国にとって日本というパートナーが大事なのか、彼らが日本に期待をしていることは何なのか、また米国の大きな国際戦略の中でどのように日本が位置付けられているかという米国視点で理解することが同盟の価値を高めると考えます。
日米同盟が今後も我が国の繁栄の基礎として大きな役割を担うとき、米国が引き続き国際的に大きなプレゼンスを示すことは、日本の利益につながると信じています。ここワシントンで米国議会、下院議員の事務所で、米国の国益に微力ながら貢献すること、また米国視点に立ち我が国の外交戦略を考えられるようになることで日本の利益に資する人材となれるよう研修を重ねてまいります。
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