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1999年3月

第2部 新しい行政システム ~ 第4報「メタシステム再考」
大串正樹/卒塾生
 
§1.メタについて

 今回は、もう一度、メタシステムの意味にてついて、考えてみたいと思います。確かに、この「メタ」という言葉は耳慣れないかもしれません。前回報告したように、言葉としてはその意味が通じなければ、表現する意味がありません。従って、「わかりやすさ」は「表現」の前提になる重要な課題です。さて、この「メタ」という言葉は、ぴったりと、その意味を表現できる日本語がないからこそ、あえて、カタカナ言葉を用いているわけですが、あえて、言い直すと、「超」というような意味ではないかと思います。超えること。つまりは、一つ上の次元で物事を考えていくことが必要なのではないでしょうか。なぜこのメタにこだわるかというと、特にシステムの問題を考える場合、従来のシステムの中で、そのシステムを変えていこうとしても、無理があります。特に、行政システムのような複雑なシステムは、そのシステムの中に、自分自身を保全するシステムが盛り込まれているようです。従って、このような自己保全のシステムを改革していくには、システムの外から考えるべきであります。

§2.ルール

 それではもう少し、具体的に、システムの外の話をしましょう。システムが成り立つには、そのシステムを維持するルールがあることは容易に想像がつくでしょう。システムを変革する場合、そのルールを変えることは、自己保全のシステムにおいては難しいのです。特に、それは、過去の行政改革の失敗してきた経緯に顕著に見られるでしょう。従って、ここに、メタの考え方が必要なのです。つまり、システムのルールを変えるのではなく、ルールそのものを決めるルールを変えるのです。メタシステムとは、この、ルールを決めるシステムを言います。わかりやすくするために、例をいくつか挙げましょう。例えば、皆さんの目の前に書類の山があるとします。だいたいの人は書類の山に囲まれているでしょう。当然、これは整理をしたい。しかし、超整理法という本がはやったように、書類を整理しても、またすぐに書類の山ができるということは、整理法そのものに問題があるということです。従って、「超」整理法なのです。方法を変えることをしなければ、根本的には変わらないと言うことなのです。もっと単純なのは、政治かもしれません。政治をよくしようと、政治家になって努力したとしても、なかなか良くはなりません。そんな中でも、意識の低い政治家が、たくさん生まれてきます。これは、政治そのものよりも、そのような政治を行う、政治家を生み出すシステム、つまり、選挙システムを変えなければ、なかなか変わりません。

§3.さらなるメタ

 このように、システムそのものを変えようとした場合に、一つ上の次元、つまり、メタシステムを変えることによって、不可能が可能になり、さらには、可能なことが、より、確実に変えていけるということが、容易に想像できるかと思います。先の例でいきますと、政治を変えるには、メタレベルで選挙を変える訳ですが、さらに、考えれば、そのような政治参加をする、国民の意識を変えていくこと、すなわち、教育を変えていくことが、より本質的で、重要というわけです。メタよりも、さらなるメタ、メタメタレベルがより強力なシステムへの影響力を持つということです。そこで、もう一度、前回の報告に記した内容を振り返って見てほしいと思います。社会システムを変えるには、情報システムを変え、そのためには、知識システムを変えなければならない。これも、メタメタレベルの話なのですが、社会システムに問題があることは、おおよそ理解を得られると思います。しかし、社会というシステムは、極めて変化を求めることが難しいシステムです。これは、個々の様々な活動の結果として、生まれてくるものが、社会であるわけですから、社会の中で、社会活動を通じて、その社会を変えていくということは、ある意味では矛盾しているとも思えます。つまり、変えようという活動そのものも、折り込み済みで社会はあるわけです。従って、社会から出なければ、それは変えることができない。そのようにも思えるわけです。ただし、その出方はいろいろあるでしょう。社会システムの捉え方によって、様々なメタレベルが想定できます。

§4.情報と知識

 社会の最も重要な決定要素は何か。これを考えますに、おそらくは、情報ではないかと思います。確かに、昔は、水が大切で、水をどのように確保するか、それが社会の決定要素になったこともあったでしょう。それが、火であったり、信仰であったり、時代背景によっては、様々な解釈ができるでしょう。しかし、今の時代は、情報が非常に大切になってきているわけで、これを無視するわけにはいかないこと、それは、皆判っていると思います。情報は社会から生まれ、社会を作る。情報を意図的に操作すれば、社会は大きく変わってしまいます。もちろん、人も変えることができます。政治体制の違いが、人間の考え方を大きく変えるということは、誰しもが体験したことでしょう。情報と社会の循環を見れば、その影響力は多大なものです。従って、社会システムにとって、情報システムはメタシステムとして位置づけて良いのではないでしょうか。そして、その情報をさらに、制御可能なシステムが、知識システムであると考えるわけです。交錯する情報の中から、価値ある情報を拾い上げ、普遍的な知識として再編するシステム。いわゆるメタメタシステムです。それを考えると、社会を変えていくために、知識システムのレベルで物事を考え、これを変えていくことは、とても重要な意味があることだと思います。

つづく

1999年3月 執筆
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