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2017年5月

実践活動報告1 -ソーシャルビジネスコンテストに出場して-
大久拡/松下政経塾第36期生

松下政経塾生として二年目になる2016年度にYY Contest 2016(ユヌス&ユース ソーシャルビジネス デザインコンテスト)に出場した。本稿ではコンテスト期間の活動内容や得たこと、今後の展望について綴らせて頂く。

 

YY Contest 2016概要と参加目的

 まずYY Contestの概要について説明させて頂く。YY Contestについて公式サイトには下記の通り記されている[1]。

YY SOCIAL BUSINESS DESIGN CONTEST(YY CONTEST)は、若者がもつ“Passion”“Creativity”“Technology”を最大限に活かし、自立的・持続的に社会的課題を解決するソーシャルビジネスのビジネスプランの立案を通して、アントレプレナーシップを持った若者を増やすことを目的としています。そして、社会のニーズに応える革新的なソーシャルビジネスの創出を目指します。

 グラミン銀行の設立を軸とした貧困撲滅に向けた活動によって、2006年にノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス博士が提唱しているソーシャルビジネスの理念を学べる点が数あるビジネスコンテストと本コンテストの大きな違いである。

 「貧困が存在しない世界において貧困は博物館でのみ見れる様になる」と語るユヌス博士と[2]、「二百五十年かけて世の中から貧困を無くす」との理念を掲げる松下幸之助塾主は考えが共通しており、松下政経塾卒塾後に社会起業を目指す者として本コンテストの根底に流れる理念を学び取りたいと思った。加えて、個人がより幸せに働ける日本社会の実現を志とする私は、政治ではなく実際に個人が働く場を創る社会起業を志実現に向けての第一歩と考えており、ビジネスプランの作成や事業化へのプロセスを在塾中に経験したいと思った。以上二点の目的のもとにメンバーを募り、大学生1名、大学院生1名、政経塾生3名から成る混合チーム、ZENとしてYY Contest 2016にエントリーした。

活動内容

 2016年5月のエントリーから始まったチームZENとしての活動は、二回の予選を勝ち抜いて翌年2月の本選まで続いた。8月の一次予選までは都度のワークショップを経ながら、チームが解決を目指す社会課題とそれを解決するビジネスプランの概要を固めた。具体的には、企業で働く人の精神疾患の予防を人工知能搭載のアプリによって実現することを目指した。課題解決への詳細な方法や顧客ターゲットなどを含む最終的なビジネスプランについては、本選発表時の動画をご参考にして頂けたらと思う[3]。


(一次予選後にチームメンバーとメンターと)

 翌年1月の二次予選までは実際にエンジニアの方にアプリを作成して頂き、共同でビジネスプランの具体化と検証を行った。一次予選時の漠然とした顧客ターゲットやビジネスプランを掘り下げるこの期間が最も大変だった。コンピュータが人の問いかけに自動応答するチャットBOTの活用や、プラットフォームとしてのFaceboookメッセンジャー上でのSECREの展開はこの期間に実現し、デモを見せられる段階にまで進めることができた。


(ビジネスプラン概要図)


(Facebookメッセンジャー上で稼働するSECRE)

 2月に京都の同志社大学で開催された本選ではユヌス博士を含む約500人がいる会場でビジネスプランを発表することができた。強い緊張のなか満足いく発表を行えたが、企業で働く人の精神疾患への対処療法になっている点とビジネスプランの斬新さに欠ける点を指摘された。結果として優勝は逃してしまったが、なぜか晴れ晴れとした気分だったことを覚えている。発表時の動画があるのでご参考にして頂けたらと思う[3]。


(同志社大学での本選発表)

学びと今後の展望

 チームメンバー一丸となって10ヶ月間YY Contest 2016に関わった経験からは、ユヌス博士のソーシャルビジネスへの思いやビジネスプラン作成の方法だけではなく、リーダーシップの取り方やチームビルディングなどについても多くのことを学ぶことができた。特に記憶に残っていることは、チームを率いる難しさをどうしたら乗り越えられるか、とユヌス博士に質問した際に頂いた次の力強い言葉である。「ソーシャルビジネスは既存のビジネスの在り方にイノベーションを起こすことで成り立つ。それはソーシャルビジネスを率いる組織・チームについても同じことが言える。つまり、ソーシャルビジネスの立ち上げを目指す君がパイオニアとして、チームを率いる最良の方法を創り出すんだ。」

 この四月から私は志実現に向けて政経塾外で様々な活動を行う実践課程に進んだ。ユヌス博士の言葉を胸に刻み、卒塾後の起業を当面の目標として、誰もが幸せに働き続けられる社会の実現のために今後もビジネスプランを磨き実践していく次第である。


(ムハマド・ユヌス博士と)


(ムハマド・ユヌス博士とチームメンバーと)

謝辞

 YY Contest 2016での活動を進めるにあたり、忙しいなか熱心に協力してくれたチームメンバーの岡こずゑさん、津曲陽子塾生、比嘉啓登塾生、横川真依子さんに感謝致します。また、メンターとして厳しくも温かくご指導頂いた伊藤眞理子さん、アプリデモをご作成頂いた野満栄一郎さんに感謝申し上げます。最後に、YY Contest実行委員会の皆さまはじめ、ヒアリング等にご協力頂いた方々に心から感謝の気持ちと御礼を申し上げたく、謝辞にかえさせていただきます。

参考文献

[1] ユヌス&ユース ソーシャルビジネス デザインコンテスト[公式サイト], 
  http://yycontest.org/

[2] Nobel Lecture,Nobelprize.org,    
  https://www.nobelprize.org/nobel_prizes/peace/laureates/2006/yunus-lecture-en.html

[3] YYC2016本選ZEN発表,
  https://youtu.be/ppK_0ONCoL0?list=PLAh88zfuWJTHpMFPuKD2PtSYyiEq_tuAn
 

2017年5月 執筆
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