研修レポート 一覧へ戻る
2017年4月

実践活動報告 ―地方とワールドロボットサミットをいかにつなぐか―
岡田吉弘/松下政経塾第35期生

松下政経塾での活動もいよいよ最後の年となった。焦る気持ちを抑え、地道にコツコツとやっていく、懸命になすべきをなす。これを胸に邁進していきたい。

 

はじめに

 2020年オリンピック・パラリンピックイヤーに、ロボットの国際競技大会が日本で開催される。通称ワールドロボットサミット[i](以後、WRSと略称する)である。WRSは、ロボットの社会実装の加速化と次代の研究者および技術者の育成を目的とする経済産業省の事業である。昨年11月よりWRS事務局に入らせていただいている。私自身の役割は、事務局の日常業務に加えて、「つなぐこと」であると自覚し、日々の活動を展開している。

地方とWRSをいかにつなぐか

 2018年には東京ビッグサイトにてWRSのプレ大会が開催される。そのため、2017年は準備が加速しており、各種委員会やワーキンググループなどの事務局業務も増えてきている。
 一方、地元・広島県に帰省して感じるのは、WRSについて知っている人に出会うことはきわめて少ないということである。ほとんどいない、と言ってもいいかもしれない。WRSを全国的なムーブメントに育てるために、広報に注力する必要性を肌で実感している。
 ふるさとに帰省するたびに、私は広島大学や福山大学の工学系研究室を訪ね、WRSの概要説明をしている。WRSを契機として、ロボット教材やプログラミング教材を用いる人材育成の基盤をつくり、地方のロボット関連産業を活性化させたいと思っている。福山で開催されたロボカップジュニアせとうちオープンでは、WRSを宣伝させていただいた。ロボカップジュニアは、小学生から大学生まで対象年齢の広いロボットづくりを通した人づくりの取り組みであり、未来のロボットの研究者や技術者が育っている。「未来のコンビニエンスストアには、さまざまなロボットが組み込まれているはず」という具体的な事例をあげ、私たち自らがロボットづくりを通して未来を創造していこうというメッセージを伝えた。
 広島県東部および岡山県西部の備後地域においては、多くのものづくり企業が集積している。WRSを通じて、備後地域の潜在的な可能性と能力を引き出す好機とするべく、微力ではあるが熱意をもって活動を展開したい。


広島県東部と岡山県西部の「備後地域」

地域巻き込みのGAIA EXPOを開催

 2017年5月5日に、NPO法人ひとまちスタジオ主催でGAIA EXPOというイベントを開催した。私は、イベント開催に向けた準備委員会のメンバーとして、コンセプトメイキングなど議論に参加した。「ものづくりや科学は人々を笑顔にする」という考え方のもと、40社以上もの企業や大学にご協力いただき、子ども向けのイベントを開催した。
 科学や技術に携わる企業をはじめ、大学の研究室など多くの協力者にブース出展していただいた。子どもたちが楽しそうに、VR技術、ソフトバンクPEPPERなどロボット技術、電動車いすなどに接する姿は本当にほほえましかった。
 福山大学スマートシステム学科は、子どもたちを対象にロボットのプログラミング教室を開催。プログラミングというと少し難しそうな印象を持つかもしれないが、学生さんが丁寧な手ほどきをすることで、ロボットを動かすことができた。少しずつロボットが賢く動いていく様子に、子どもたちはすっかり感動した様子であった。香川直己教授には、日頃より備後地域に集積するものづくり技術のポテンシャルについてご指導をいただいている。このような地域巻き込みの教育的イベントが、地域のポテンシャルをより一層引き出していくことにつながると考える。
 また、広島大学・栗田雄一准教授のブースも子どもたちの注目を集めていた。小型サイズのショベルカーを遠隔操作し、VRを駆使して自らがショベルカーに乗って運転しているかのような体験型デモンストレーションを実施。ロボット技術やVR技術が描き出す、未来の働き方を実感する素晴らしい内容であった。栗田先生の「科学教育を展開していく機会にはぜひ協力したい」とおっしゃっていただいている。引き続きよりよい場づくりに向かって、コラボレーションの機会を得ていきたい。


ショベルカーを遠隔操作する様子

 また、3Dプリンターをデモンストレーションしていただいたインタロボット社・小川様から、「備後地域ではハイテク技術を体験する機会は多くなく、今回のGAIA EXPOは、子どもたちにとってはもちろんのこと、親御さんにとっても貴重な経験となった」とコメントをいただいた。好奇心を刺激するテクノロジーに出会うことで、子どもたちの科学への関心度が高まることを実感した。


3Dプリンターで印刷して仕上がったモノを見て話す様子

さいごに

 災害に強い国づくりや超高齢社会で誰一人取りこぼさない国づくりを実現する、有効手段としてロボット技術やICT技術が期待される。WRSが全国津々浦々まで浸透し、にぎわいをもって開催することで、ロボット関連産業の活性化と科学教育の基盤づくりにつながると考える。地方とWRSをつなげていく上で、松下政経塾生としての私の役割を担っていけるよう、今後の活動に邁進していきたい。

[i] WRSの詳細については、2017年1月公開の実践活動報告に記載している。

2017年4月 執筆
※ご意見・ご感想はこちらから 送信フォームへ
ページの先頭へ