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関西研修レポート

 5月15日から21日までの一週間、関西へ研修に行った。日ごろ松下幸之助という人物については文字でしか知ることができないが、生前の塾主を知る方々にお会いし話を聞くことで、よりリアルな松下幸之助像を自分の中に描きたいと思い、研修に臨んだ。我々塾生にとって松下幸之助という人物は、松下政経塾の設立者であり、塾生活でも「塾主」と呼び、どうしても政経塾の「師」という認識にのみ偏ってしまう。しかし、現Panasonicである松下電器産業の創業の地、大阪に行くとそこにはやはり「創業者」、「経営者」としての松下幸之助が厳として存在していた。当たり前といえばそうだが、茅ケ崎の政経塾にいるとどうも忘れてしまいがちなのである。今回の研修は、「塾主」の哲学を学ぶ上で欠かせない「創業者」、「経営者」松下幸之助を知ることができたよい機会であった。

 松下幸之助の経営哲学に次のものがある。
「会社は社会の公器であり、企業は社会とともに発展しなければならない。自分の会社だけが栄えるということは一時的にはあり得ても、そういうものは長続きはしない。自然も、人間社会も、共存共栄が本来の姿なのである。」と。

 公を思い、眼前の利益に惑わされない経営判断は、正に至誠の姿ではないか。この場合、愛嬌とは関係ないが、この至誠の姿は松下幸之助の人間的魅力を特徴づけているもののひとつではないだろうか。

 その他研修の中で、この利己を超えた塾主の「至誠の姿」にたびたび触れた。そのひとつに、最終日に訪れた「光雲荘」がある。これは松下幸之助の旧宅だが、300年後の日本に日本建築の技術を伝えたいという思いが込められており、正に日本の伝統建築の粋を集めた建物であった。常に公を利する思いがあり、それを実践する松下幸之助は、自身の生きかたを以って人としてのあるべき姿を後世に伝えてくれているのではないか。今回の研修で、私は当初の目的通り、リアルな松下幸之助の姿を自分の中に描くことができたとともに、今後如何なる人間を目指すべきなのかについても、また心に描くことができた。

 研修初日はPanasonic創業の地、大阪市福島区大開に行った。淀川河口の南に位置し江戸時代は近郊農村、明治以降は繊維産業の大工場や中小企業の工業地帯で、昭和の下町の雰囲気を残す静かなところであった。当日はPHPおおひらき松翁会というボランティアの方々に、1918年松下幸之助が24歳で創業した創業の家、最初の工場の移転拡張が行われた第一次本店・工場、そして第二次本店・工場跡を見学させていただいた。ここで驚いたことは、ボランティアの方々をはじめ、今なお松下幸之助を慕う人々が多く存在し、この地を訪れている、という事実であった。塾主が平成元年に亡くなって今年で22年がたつが、何故人々はこの地を訪れるのか。松下幸之助の業績に対する興味や尊敬の念をもって訪れる人もいるだろう。しかし、それだけでかくも人が集う場所ができるだろうかと思うのである。やはり、なにか理屈抜きの人間としての魅力が松下幸之助にはあり、その魅力に触れたからこそ、この地を訪れるのではないか。

 塾主は人間として成功するための条件に「運」と「愛嬌」を挙げている。
「成功する人はどんな人かというと、非常に頭がよく勤勉であっても、必ずしも成功しない。何やしらん人を引きつけるような魅力があって、他にもさまざまな要素があって、それで成功しているんです。」と人間の魅力について語っている。

 人間としてどう生きていくべきかを考えることがあるが、様々生きる道はあっても、結果として人間の魅力や愛嬌の厚みが増していた、という生き方がいいのかもしれない。同じ、大阪の地で活躍した作家、司馬遼太郎氏の作品「竜馬がゆく」の中でも「漢は愛嬌こそ大事」であり、愛嬌とは「無欲と至誠からにじみ出る分泌液」と言っている。塾主の至誠天通の生き方に触れた人々がこの大開に訪れているのかもしれない。

 その「至誠」ということで、この研修中にひとつのエピソードを伺った。パナソニックグループを定年退職した人の集まりで松愛会という会があるが、研修3日目は、この松愛会の方々との交流会があり、生前の松下幸之助を知っている方々から聞いたものである。まだファックスが世に普及していないときに、松下電器の技術陣では松下電器でもファックスの開発に参入すべきという意見があったそうだ。当然会社の規模を考えても他社を抑えて勝てるという見込みがあったに違いない。しかし、松下幸之助はそれ故に承知しなかったそうである。やはり、松下は家電でいくべきだと。

 松下幸之助の経営哲学に次のものがある。
「会社は社会の公器であり、企業は社会とともに発展しなければならない。自分の会社だけが栄えるということは一時的にはあり得ても、そういうものは長続きはしない。自然も、人間社会も、共存共栄が本来の姿なのである。」と。

 公を思い、眼前の利益に惑わされない経営判断は、正に至誠の姿ではないか。この場合、愛嬌とは関係ないが、この至誠の姿は松下幸之助の人間的魅力を特徴づけているもののひとつではないだろうか。

 その他研修の中で、この利己を超えた塾主の「至誠の姿」にたびたび触れた。そのひとつに、最終日に訪れた「光雲荘」がある。これは松下幸之助の旧宅だが、300年後の日本に日本建築の技術を伝えたいという思いが込められており、正に日本の伝統建築の粋を集めた建物であった。常に公を利する思いがあり、それを実践する松下幸之助は、自身の生きかたを以って人としてのあるべき姿を後世に伝えてくれているのではないか。今回の研修で、私は当初の目的通り、リアルな松下幸之助の姿を自分の中に描くことができたとともに、今後如何なる人間を目指すべきなのかについても、また心に描くことができた。

 研修初日はPanasonic創業の地、大阪市福島区大開に行った。淀川河口の南に位置し江戸時代は近郊農村、明治以降は繊維産業の大工場や中小企業の工業地帯で、昭和の下町の雰囲気を残す静かなところであった。当日はPHPおおひらき松翁会というボランティアの方々に、1918年松下幸之助が24歳で創業した創業の家、最初の工場の移転拡張が行われた第一次本店・工場、そして第二次本店・工場跡を見学させていただいた。ここで驚いたことは、ボランティアの方々をはじめ、今なお松下幸之助を慕う人々が多く存在し、この地を訪れている、という事実であった。塾主が平成元年に亡くなって今年で22年がたつが、何故人々はこの地を訪れるのか。松下幸之助の業績に対する興味や尊敬の念をもって訪れる人もいるだろう。しかし、それだけでかくも人が集う場所ができるだろうかと思うのである。やはり、なにか理屈抜きの人間としての魅力が松下幸之助にはあり、その魅力に触れたからこそ、この地を訪れるのではないか。

 塾主は人間として成功するための条件に「運」と「愛嬌」を挙げている。
「成功する人はどんな人かというと、非常に頭がよく勤勉であっても、必ずしも成功しない。何やしらん人を引きつけるような魅力があって、他にもさまざまな要素があって、それで成功しているんです。」と人間の魅力について語っている。

 人間としてどう生きていくべきかを考えることがあるが、様々生きる道はあっても、結果として人間の魅力や愛嬌の厚みが増していた、という生き方がいいのかもしれない。同じ、大阪の地で活躍した作家、司馬遼太郎氏の作品「竜馬がゆく」の中でも「漢は愛嬌こそ大事」であり、愛嬌とは「無欲と至誠からにじみ出る分泌液」と言っている。塾主の至誠天通の生き方に触れた人々がこの大開に訪れているのかもしれない。

 その「至誠」ということで、この研修中にひとつのエピソードを伺った。パナソニックグループを定年退職した人の集まりで松愛会という会があるが、研修3日目は、この松愛会の方々との交流会があり、生前の松下幸之助を知っている方々から聞いたものである。まだファックスが世に普及していないときに、松下電器の技術陣では松下電器でもファックスの開発に参入すべきという意見があったそうだ。当然会社の規模を考えても他社を抑えて勝てるという見込みがあったに違いない。しかし、松下幸之助はそれ故に承知しなかったそうである。やはり、松下は家電でいくべきだと。

 松下幸之助の経営哲学に次のものがある。
「会社は社会の公器であり、企業は社会とともに発展しなければならない。自分の会社だけが栄えるということは一時的にはあり得ても、そういうものは長続きはしない。自然も、人間社会も、共存共栄が本来の姿なのである。」と。

 公を思い、眼前の利益に惑わされない経営判断は、正に至誠の姿ではないか。この場合、愛嬌とは関係ないが、この至誠の姿は松下幸之助の人間的魅力を特徴づけているもののひとつではないだろうか。

 その他研修の中で、この利己を超えた塾主の「至誠の姿」にたびたび触れた。そのひとつに、最終日に訪れた「光雲荘」がある。これは松下幸之助の旧宅だが、300年後の日本に日本建築の技術を伝えたいという思いが込められており、正に日本の伝統建築の粋を集めた建物であった。常に公を利する思いがあり、それを実践する松下幸之助は、自身の生きかたを以って人としてのあるべき姿を後世に伝えてくれているのではないか。今回の研修で、私は当初の目的通り、リアルな松下幸之助の姿を自分の中に描くことができたとともに、今後如何なる人間を目指すべきなのかについても、また心に描くことができた。

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内田直志の活動報告

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Tadashi Uchida

内田直志

第31期

内田 直志

うちだ・ただし

福岡県みやこ町長/無所属

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過疎対策および地方経済の活性化策の研究

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