活動報告

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おもてなしの心を大切に

 私にとって茶道というのは、いままで縁遠いものでした。女性がするものだろうという認識がありました。政経塾に入り、改めて日本文化のひとつである茶道を学ばせていただきたいとの思いから茶道委員をすることに決めました。そんなわけで茶道においては全くの初心者であります。入塾して半年毎週稽古をして参りましたが、恥ずかしくないお手前が出きればとの思いで宗家を訪れました。

 松下幸之助塾主は、日本人として日本の文化や歴史を知ることを大事とされています。そして国際社会の中で、国際人としても日本の文化を知ってこそ国際交流ができるのだとおっしゃっています。塾主本人もお手前をなさったり、日本の各地に茶室を寄贈されたりしています。例えば、和歌山城や伊勢神宮などにもお茶室をつくられ、今回の関西研修の中で訪れることができました。なぜ塾主はそこまでお茶を親交されたのか。私の中で、問題意識としてありました。そしてお茶は日本文化の根幹を伝承するものであると言われるがそのお茶の本来の有り方やお茶の心を自分なりに吸収してくることを宗家研修の目的として研修して参りました。

 私は毎朝、庭の掃除を小野さんと二人でやることになりました。塾でも毎朝竹箒を使っているので扱いはなれていましたが、砂利の上に落ちた葉を丁寧に砂利を取らずに繊細に拾う作業はなかなか気の折れる作業でした。しかしながら、弟子の方々は毎朝4時半から作業をされていると聞き、頭の下がる思いがしました。茶道では掃除を大変大切にされていると聞いていましたがその一面を垣間見たように思います。

 お稽古の中で私が感じたことをこれから述べていきたいと思います。いままで茶道は覚えることが多く大変でしたが、茶道の動作や手順は合理的にできているということを学ぶことができました。それゆえに原理・原則を覚えてしまえば基本的にお手前はできるのだと気づいたことは大きな収穫でした。そうした原理を大変丁寧に教えていただきました。しかし茶道にとって最も大切なことは、心のゆとりをいかに保ち、ゆとりある空間を作り出すかであり、心の会話こそ大切なのだと感じることができました。「客は亭主の心になり亭主は客の心になるこれが茶の湯の第一条なり」という言葉があります。茶道において大切な心は主客も亭主も心を一つにして一つの空間を共に作り上げることにあるのだと思う。客をおもてなしする心と呼んで頂いたことに感謝し、礼儀を尽くして心でおもてなしをお受けする心がひとつになってお茶を囲んだ世界がすばらしいものになるのだと感じました。

 「おもてなしの心」私がこの研修を通じて最も心に残った言葉でした。それは私が以前、住み込みでお世話になっていたペンションの亭主が私に何度もおっしゃっていた言葉だったからです。そのペンションは清里で、日本でペンションブームをつくったペンションの先駆けとなったところです。当時見習いとして住み込みをしていた私は、非常に厳しく教えていただきました。おもてなしの心を大切にしていると。お客様にもう一度このペンションに泊まりたいと思って帰ってもらうために行動し、徹していることを身をもって経験したことがその時に思い出されました。松下幸之助塾主もこのおもてなしの心を大切にしていたのではないでしょうか。塾主はお客を迎えるのも最善の気配りをされていたと聞きます。徹底されていたおもてなしの心こそ商人としても経営者としても大切な心のあり方だったのだと思います。

 私は宗家研修で、お茶を通じて生活の哲学や思想を学んできたように思います。当たり前のことを当たり前にすることの大切さ。難しさを日々生活をしていると誰しもあると思うが、茶道ではその「あたりまえ」の行動を自然にできることこそ真の姿としていることを知りました。スポーツでも当たり前のことを当たり前にできることが非常に難しく、基本を重んじる。しかしそれはプレーに限らず普段の道具への気配りや、チームメートとのコミュニケーションなど人との関係作りも重要な要素となると思う。茶道でも茶人としての心がけを大切にしている姿に感銘を受けました。

 私はこれからもお茶を続けていきたいと強く思いました。それはどうしてかというと、この世界には日常のささいなことを大切にし、おもてなしの心を大切にし、そして一わんを飲みあうことによって人の和をつくり、平和を生み出そうとする志を持つものだからです。これは日本の文化を伝承するだけでなく、自分を高め、自分の周りの人を喜ばすことができる価値観をもってると思います。これからは、日本の良さを身につけた日本人を育てていきたい。私の周りから変えていきたいと思います。

 最後に、私が好きな利休道歌「その道に入らんと思う心こそ わが身ながらの師匠なりけれ」について自分の思いにふれたいと思います。この言葉は政経塾に入塾した自分の心を映し出しているように思えて、非常に心を打ちました。日本をよくしたいというか、自分の生まれた街をよくしたいという気持ちから政治の道を志した自分に向けられた言葉と思い、これからも大切にしていきたいと思います。茶道の心は日常のいたるところで通じる普遍的な思想であり、哲学だと思います。茶道の文化でもスポーツでもそうですが、型というものがあります。その型を自分のものとするために努力し、血を吹き込み、初めてかたち形となる。そうしてしぐさに責任をもった自分が生かされてくる。そこに精神的なものがあいまって道ができると宗室はおっしゃっています。政治についても書物に頼るだけでなく、自分の目で確かめ、まさに現地現場に学び、見て学ぶ。本質は何かを追求し自分のものとすることが塾主の考える物事の道と繋がっていくのだと思う。政経塾生の使命として本質を捉える目を持ち、人を説得できる言力を身につけ、精神的なゆとりをもって活動して参りたいと決意を新たにして宗家研修の感想としたいと思います。

 こうした研修の機会を与えてくださった宗家研修に関わってくださった皆様、塾主や塾関係者の皆様、および23期生のみんなに感謝しております。どうもありがとうございました。

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畠中克賢の活動報告

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Katsuyoshi Hatanaka

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第23期

畠中 克賢

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