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100km行軍 感想

1 ヘトヘト…

 はっきり言って疲れた。もうこれ以上歩きたくない、歩けない。「疲労困憊」とはこういう状態を指すのだろう。足の裏が、膝が、太腿が、腰が、肩が痛い…。とにかく全身がボロボロ。情けないが、ゴール直後の私はそんな状態だった。

 考案者の平野先生は、「地球の400分の1の距離を感じてきて下さい」と言われた。机の上では、「よし、地球の大きさを感じてやろう!」などと軽々しく思った。実際に歩いてみるとなかなか筆舌に尽くし難いものがあった。大いに堪能した。体じゅうの痛みが癒えぬうちに、感じたこと、考えたこと、そして得たことを書き記しておく。

2 感じたこと

 「100㎞22時間」という大変な行程であったが、湘南海岸から三浦半島というコースは極めて風光明媚で、五感に感じることが多くあった。まず視覚では、三浦半島の大自然、湘南海岸を照らす朝陽、活気ある横須賀市の街並み、一方で寂れた昔ながらの商店街が印象に残った。聴覚では、何と言っても夜中、リズミカルに背中を押し続けてくれた波の音が忘れられないし、嗅覚では、潮の香りとともに意外と気になる排気ガスを、また味覚では、貪るように食べた昼食のハンバーガーと夕食のスパゲティを思い出す。そして触覚では、足の裏が痛いというほどアスファルトの硬さを感じたし、終盤の足の疲れもあり、通常は何でもない段差に苦しめられた。痛みや苦しみと共に感じたこれらの事物・事象は一生忘れないと思う。

3 考えたこと

 歩く道中、「歩くことの意味」「100㎞行軍の意味」そして「人生」について、松下幸之助塾主に問いかけながら大いに考えた。どんなに辛くても、どんなに痛くても歩かなければ、歩き続けなければゴールに辿り着かない「100㎞行軍」。至極当たり前のことだが、日々の営みや人生もつまるところそういうことなのだろう。長いようで短い人生、次々と自動的に巡ってくるような日や時間、その中で人間がその天命である「生成発展」を体現・実践していくためには、やはり歩き、歩き続けなければならない。しかも人間は決して一人ではない。まわりの人間と共に歩くこと「共歩」がいわゆる歴史を形作っていくのだろう。塾主は自然の理法に従った「共存共栄」「調和共栄」を生成発展のための人間道の1つと位置付けられている。共存や調和を土台とした「共栄」は、実は「共歩」により実現していくべきものなのだろう。大いなるゴールに向かって一歩ずつ共に歩き続けていこう、と歩きながら考えた。

4 得たこと

 この苦しい「100㎞行軍」を乗り越えたこと、その過程で感じ、考えたことは体と心に染み渡っている。特に、今回、共に歩いた仲間、支えてくれた仲間の存在が大きかった。言葉による励ましもあったし、自分だけが遅れたり、弱音を吐いたり、ましてや諦めるわけにはいかない、という競争心や虚栄心もあったかもしれない。しかし、夜中、何も言わずただひたすらお互いの息遣いや歩みを感じながら歩くことで、そういう表面的なことを超えた「1つのゴールに向かって共に歩く仲間」を感じ、得ることが出来たことは今回の「100㎞行軍」の何よりの成果だったと思っている。これから人生の歩みを進める過程で、この100㎞22時間で感じ、考え、得たことを大いにかみ締めてまいりたい。

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三日月大造の活動報告

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Taizo Mikazuki

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第23期

三日月 大造

みかづき・たいぞう

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