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100km行軍 感想

 「100km行軍」とは、23年前の松下政経塾創設以来の伝統行事で、辻堂の塾を出発し、三浦半島を一周して、塾に戻る100kmの道のりを24時間以内に戻ってくるという行事である。塾生としての通過儀礼であり、国会議員、市長になっている先輩達も皆経験してきたことではあるが、正直言って「何でこんな狂気の沙汰をしなきゃいかんのか、ここは軍隊か?」と思っていた。同期の多くも同じ思いだったことであろう。

 本番を一月後に控えた9月のある日、事前説明会が開かれた。講師の平野仁先生は、松下幸之助塾主に見込まれ、当塾の体育の先生になり、この狂気の沙汰を創設した方だ。不安と疑問の瞳があふれる中、先生が入室。日本中国青少年交流会協会会長を長年お勤めになり、田中角栄元首相とも親交が厚かったそうである。笑顔だが、すごい迫力が自然に伝わってくる。雄弁、熱弁。最初は何と雄弁な方だろうと思うだけであったが、お話を聞く内、この行事を作られたのは素晴らしい!と思うようにすらなっていた。

 「100kmというのは地球一周のだいたい四百分の一である。自分の足でこの道のりを歩くことで、地球の大きさを感じて来て欲しい」
「一番苦しい時に仲間に笑いかける人間になってほしい」

 こうした言葉に心を揺さぶられ、燃えに燃えてきたが、決定的だったのは、第3期卒塾の先輩、松沢成文代議士のエピソードであった。20年前松沢先輩は、前日の剣道稽古中にササクレだった床の板で足裏の皮をほぼ全てむいてしまった。重傷、ひどい痛みにも関わらず、足をぐるぐる捲きにして行軍に挑み、そして見事時間内に完歩された。

 いよいよ当日を迎え、朝会では山本閉留巳先輩が独特の抑揚を以て、塾是・十訓・五誓を読み上げ、否が応でも盛り上がる。豊島成彦先輩(第16期)よりエールをいただき、塾のアーチ門をくぐり、いよいよ10月24日午前10時、行軍がスタート。三組計10人が挑戦、我がロ組は、リーダーである21期生二之湯武史先輩、22期生海老名健太朗先輩、同期の三日月大造君そして私。二之湯リーダー指揮下、10kmごとに休憩を取り、順調に歩を進める。途中諸々の話をしながら、ほとんどハイキングの乗りで50km地点に楽々到着。出発前に各人が句を詠んだが、私の句は平野先生のお話を踏まえ「100キロ行軍 どうせやるなら 笑わにゃそんそん」というものだったが、ここまでは句通りに進んだ。「案ずるより産むが安し」などとほくそ笑んでいた。

 しかし、後半は段々ときつくなっていった。夜の闇が深まる中、50kmから60km、60kmから70kmは長く、しかも山道。笑顔の余裕は無くなり、ビートルズの「Long and winding road」の曲が頭の中でこだまする。ここで挫折するなら、政治家挑戦は辞めようと思い、必死だった。60kmチェックポイント時点からは、古山和宏研修塾塾頭が登場し、低温で悪魔の囁きをする。「良くやった。もう辞めてもいいんだぞぅ。タクシー呼んでやろう。がはははは」。疲労は蓄積し、眠気にも苦しんでいたが、悪魔の囁きが、逆に闘志を蘇らせ、翌25日午前8時、無事塾に戻ってくることができた。

 一生の誇りとしたいが、今回完歩出来たのは、運と多くの方々の御協力による。皆マメに苦しんだが、私は幸運にも全くマメが出来なかった。同期の小野貴樹君は加えて、爪を剥ぎ、白い靴が赤くなってゴール。同君の努力と根性は私の比では無い。苦しい時に笑って励ましてくれたロ組二之湯・海老名両先輩、三日月君をはじめ、御支援くださった多くの職員さん、食堂の安藤さん、諸先輩方にこの場を借りて感謝申し上げたい。

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橘秀徳の活動報告

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Hidenori Tachibana

橘秀徳

第23期

橘 秀徳

たちばな・ひでのり

日本充電インフラ株式会社 代表取締役

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