活動報告

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茶道宗家研修報告書

 はじめに、この度宗家研修に参加させていただいたことに対し感謝申し上げます。茶道の本物に触れ、改めて茶道の精神、また日本文化を理解することができました。今回の研修で感じたことなどを以下に報告致します。

★研修場所 京都市  裏千家 財団法人今日庵

★研修日程 2001年11月21日(水)~23日(金)

★研修目的(自己設定)

  1. 本物に触れ茶道の真髄を知る
  2. 日本文化の理解を深める
  3. 「薄茶点前」を満足できるレベルに仕上げる

★研修を終えて

  1. 「一期一会」とは、人だけに対してのものではない
  2. 「平常心是道」~家元のお言葉
  3. 人を思いやる、おもてなしをすることをもっと勉強すべき
  4. 茶道を理解するにはさまざまな教養が必要である
  5. 「日本とは」、「日本人とは」改めて問い直したい
  6. 日本文化の素晴らしさをもっと深く幅広く理解すべき
  7. 「小倉百人一首競技かるた」を大事にしていきたい
  8. まとめ

1.「一期一会」とは、人だけに対してのものではない

 今回の研修を通して、私は「一期一会」の新しい意味を知った。多くの人に知られているこの言葉の意味を、私はそれまで人に対してのことだと捉えていた。しかし、初日の最初のお稽古の中で、それは人だけでなくすべてのものに対してのものであること教えられた。確かに同じ人と、同じ場所で、同じ道具を使って、とすべての条件が仮に同じであっても全く同じ状況になることは二度とないであろう。お客様、茶道具、場所、すべてに対して一期一会の気持ちを一杯のおいしいお茶をたててもてなすことに託すことが大切ということである。私自身、普段の生活の中で「生かされている」ことを忘れてしまいがちである。私たち人間の命は実は大変はかないものである。現在に対する謙虚な感謝の気持ちを常に持たなければいけないと痛感した。一日一日、一瞬一瞬を大事に、「一期一会」の精神を常に心にもって、「今」を一所懸命に生きていきたい。

2.「平常心是道」~家元のお言葉

 開講式にて大変ありがたいことに、千宗室家元より直々にお言葉をいただくことができた。お家元からいただいた「平常心是道」という言葉は今回の研修で最も心に残った言葉の一つである。普段の心がけそれが「道」であることは簡単そうであるが、実は最も難しいことなのではないかと思えた。前述の「一期一会」の精神、毎日の早朝研修の掃除にも通じる。松下幸之助塾主の言われた「掃除の大切さ」がより実感できた。

3.人を思いやる、おもてなしをすることをもっと勉強すべき

 今回、千利休のことをほとんど初めてきちんと理解したように思う。道具本位からお客様本位への大転換はとても重要な点である。モノがあふれ、人心が乱れている感もある現代社会にもそのままあてはまる部分も多いかもしれない。

 河崎先生、中塚先生とお稽古をさせていただく中で、「人を思いやる、おもてなしをすることとはどういうことかをもっと勉強する必要がある」ことを痛感した。こうしなければならないという思いでお点前を覚えたり、他のことも見てきたように思う。しかし、茶道でもっとも重要なことは「どうしたらお客様においしいお茶を飲んでいただけるか」であるから、お茶そのものよりも気配り心配りをすることが大事であるように思う。そのためにも「人間をよく知る」ことがとても重要である。

4.茶道を理解するにはさまざまな教養が必要である

 お稽古を通して、「茶道を理解するにはさまざまな教養が必要である」ことも改めて知らされた。政経塾でのお稽古でも感じてはいたが、宗家研修ではこれまで見たこともないものをたくさん拝見することができた。それそのものだけでなく、背景も含めての教養を身に付けていくことでより深い理解、楽しみが得られるように思う。

5.「日本とは、日本人とは何か」を改めて問い直したい

 「日本とは何か、日本人とは何か」ということを今回、自分が本当わかっているのか、改めて問い直す必要性を感じた。毎日、朝会で「真に国家と国民を愛し…」と唱和しているが、日本や日本人のことが本当にわかっているのだろうか?と自問自答してみると自信がない。きちんと理解できていない人間が真に愛することができるとは思えない。「日本とは何か、日本人とは何か」を自分の中ではっきり認識できるよう、今後改めて問い直して生きたい。

6.日本文化の素晴らしさをもっと深く幅広く理解すべき

 研修を通して、日本文化の素晴らしさをより実感することができた。お茶、道具、茶室、茶碗、掛け軸、お花、庭など茶道を通して多くの日本文化に触れることができる。これは大変貴重である。それぞれについての私の現在の理解度は本当に恥ずかしいレベルである。今後はもっと深く、幅広く理解することを心がけたい。また、研修中「みどり会」のお稽古を拝見する機会があった。全員が外国人で、着物を着てお稽古をされている様子はとても不思議な感じがした。しかも、お点前が私たちよりも大変上手であり、稽古をたくさんされているので当たり前ではあるが、複雑な気分であった。私は外国からわざわざ勉強に来られている方がたくさんいる中で、日本人がどこまで理解しているか疑問に思えた。ただ、茶道や華道など多くの日本文化は奥行きはあるが、月謝が高い、一部の方のものになっているなど「間口が狭い」印象は否めない。一つの提案であるが、今後は義務教育の中で、何か一つ日本の文化を身に付けることのできる機会をつくる必要があるのではないだろうか。そうすることが、お家元のお話にもあったように、真の国際人を育てることにつながるように思う。

7.「小倉百人一首競技かるた」を大事にしていきたい

 そのように感じる中で、私は自分が取り組んできた「小倉百人一首競技かるた」を大事にしていきたい。日本で古来から伝わる和歌を百首覚えていることは貴重なことであるし、内容でも茶道に関わりが少なからずあるように思う。和服を着ることや、「礼に始まり礼に終わる」ことからも通じるものがある。また、茶道に限らず日本のさまざまな文化にもつながっている。競技でなくても、かるた取りという誰もが親しみやすい遊びを通して日本古来の和歌に触れることはとても貴重である。「間口が広く、奥行きも深い」ことはあらゆる伝統芸術にとって重要なことである。小倉百人一首かるたは間口が狭くなっているものが多い現在の日本の伝統文化を伝えるのに貴重な役割を果たせるのではないかということでも期待している。

8.まとめ

 最後に、今回の宗家研修は本当にありがたい研修でした。今後努力していかなければいけませんが、研修前に自分で設定した目的は果たすことができました。3日間の短い期間ではありますが、いろいろなことを経験し、感じさせていただくことができました。普通の方はまず機会がない宗家拝観、大徳寺拝観もさせていただくことができました。宗家拝観の際には、「又隠」など数百年前から実際に使っているお茶室など拝見でき、これまでにない大きな衝撃でした。大徳寺でも貴重なものを拝見し、三千家のお墓参りもさせていただきました。わざわざ色紙をいただくなどご住職にはご配慮をいただき、ありがたく思います。

 これもお家元をはじめ裏千家の皆様のおかげです。特に、お家元にはお免状をいただいたり、懇親会を設けていただくなど大変なお心づかいをいただきまして、本当に感謝致しております。また、河崎先生、中塚先生、中島先生には様々なことをご指導いただきました。秘書室の山田課長はじめ皆様にも大変お世話になりました。なかなか覚えの悪い私たちを4月から辛抱強くずっとご指導いただいた紺谷先生、加藤先生にもお礼を申し上げたいと思います。そして、このような機会を与えてくださいました松下幸之助塾主にも心からの感謝の気持ちで一杯でございます。

 これだけの機会を与えていただいたことを活かすためにも、今後の人生においても機会をつくって茶道に接していきたいと思います。そして、これからも茶道の精神、日本文化をしっかり理解していきたいと考えています。将来、自分の茶室でお客様をおもてなしできる日が来ることを夢見て、日々精進してまいります。

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福原慎太郎の活動報告

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Shintaro Fukuhara

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株式会社成基 志共育事業担当マネージャー

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