論考

Thesis

茅ヶ崎まちおこし ~茅ヶ崎スタイルとまちおこし~

今回は、12月16日(火)、茅ヶ崎商工会議所で開催された茅ヶ崎TMOフォーラム「茅ヶ崎スタイルとまちおこし」について報告する。

茅ヶ崎TMOフォーラム

1.開催経緯

 茅ヶ崎TMOは、平成13年7月から平成14年3月まで茅ヶ崎商工会議所内において、JR東海道線茅ヶ崎駅を中心とする市街地の活性化について、地元商工業者を中心に、学生や一般市民を交えて議論を重ねてきた。
 私も、茅ヶ崎に松下政経塾がある縁で参加し、茅ヶ崎市の中心市街地の活性化に関わっていた。
 この過程の中で、茅ヶ崎のイメージをブランドとして発信できないかという議論があり、茅ヶ崎TMOとして茅ヶ崎ブランド事業を展開していくこととなった。
 この地域ブランドを作る際に、茅ヶ崎TMOとして茅ヶ崎のイメージやスタイルについて広く集める必要性があるのではないだろうかということで、茅ヶ崎TMOは「茅ヶ崎スタイルとまちづくり」と題したフォーラムを開催することとした。

2.フォーラムについて

 フォーラムは、これから中心市街地活性に取り組んでいく茅ヶ崎TMOがその存在や取り組もうと考えていることを茅ヶ崎市民に広く知ってもらおうという趣旨で企画されたものである。
 第一部は、中田宏横浜市長に基調講演を、第二部は茅ヶ崎の活性に取り組んでいる人たちに、「茅ヶ崎スタイルとまちづくり」についてパネルディスカッションをという形で、私は第二部のコーディネイターとして出演した。
 第二部のパネリストは、岩澤裕氏(茅ヶ崎商工会議所・茅ヶ崎商店会連合会)・今井裕子氏(ハラウ・カロケ・メレメレ・オカヒキナ)・亀井信幸氏(湘南スタイル研究会)・金子星地氏(茅ヶ崎アロハ実行委員会)の4名である。

パネルディスカッション

1.ディスカッション

 フォーラムのタイトルを「茅ヶ崎スタイル」と銘打っているが、茅ヶ崎スタイルをパネルディスカッションで一つに定義してしまうのではなく、参加者にもう一度改めて意識して茅ヶ崎のよさを、そして茅ヶ崎のスタイルを考えてもらおうということを結論にディスカッションを行なった。
 各団体の取り組みは以下の通りである。
 茅ヶ崎商店会連合会は、商工業者としても単に商売だけでなく、環境に配慮しなければならないとの考えから、循環型社会を目指してリターナブル瓶や、買物袋を減少させる試みとしてエコバック等を取り組んでいる。茅ヶ崎の海のいい環境のイメージを商工業者としても支えようと活動を展開している。
 ハラウ・カロケ・メレメレ・オカヒキナは、その意味は「東洋の黄色いバラ」で、茅ヶ崎を中心にフラダンスの普及や子どもたちと茅ヶ崎の海の環境を考えることから海岸清掃を行なっている。その活動に取り組みだした理由は、茅ヶ崎がハワイと雰囲気が似ているということから、その雰囲気をより盛り上げるべくフラダンスに取り組んでいる。
 湘南スタイル研究会は、湘南地域の良いイメージが先行する現状に危機感を抱き、まずは自分たちで改めて湘南を知り、好きになって、湘南の将来を考えようと活動している団体で、歴史や伝統文化の見直しや、「わたしの湘南スタイル」を募集して、湘南スタイルの啓発活動を行なっている。
 茅ヶ崎アロハ実行委員会は、茅ヶ崎の夏、海、そしてゆったりとしたイメージ、冷房よりも自然の海の風を感じるため、茅ヶ崎でアロハを着て過ごそうと活動している。ゆくゆくはこれを茅ヶ崎の生活文化として定着させたいと願っている。ちなみに私も秋からこの実行委員会に加わって、どうやって茅ヶ崎のアロハでのライフスタイルを確立させるか取り組んでいる。
 各団体の取り組みの後は、それぞれが茅ヶ崎のスタイルをどのように考えているのかを話し合ったが、共通しているのは、やはり海や輝く陽光やゆったり感や、そこから生み出された生活文化・環境を大切にし、そして発信したいということであった。

2.質問から  ~赤とんぼ、山田耕筰は茅ヶ崎で作曲した~

 質疑応答では、やはり茅ヶ崎の誇れるものをもっと積極的に発信して欲しいという声や、発信したいという声があった。その中でも印象に残ったのが、童謡「赤とんぼ」である。
 「赤とんぼ」は、作詞三木露風、作曲山田耕筰で、作詞三木露風の故郷である龍野市にはその記念館がある。私の母方の里が龍野市だったので、幼いころにこの記念館にいったことがあった。
 恐らく、「赤とんぼ」といえば、三木露風であり、龍野市ということになるだろう。
 しかし、山田耕筰は昭和2年、茅ヶ崎でこの「赤とんぼ」を作曲したのである。
 私も、今回のフォーラムの質疑応答で初めてその事実を知ったのだが、茅ヶ崎には、龍野市のような記念館はない。
 「赤とんぼ」は、NHKが1989年に募集した「日本のうた・ふるさとのうた」に66万通の応募の中で、童謡唱歌人気ランキング第1位の歌であった。
 龍野市では、市を挙げて作詞三木露風に関してまちおこしを展開しているが、茅ヶ崎では残念ながら価値があるにもかかわらず行なわれていないということであった。
 やはり、茅ヶ崎にもまだまだいろいろな文化的資産が眠っているのである。

まとめ

1.まずは自分が「茅ヶ崎スタイル」を考えよう

 国と地方の税財政を見直す三位一体改革が進められ、中央集権から地方分権、地域主権へとその仕組みが変わろうとしているが、私は権限や税源を移譲したからといって地域主権は実現できないと思っている。
 やはり、その地域に住む人が地域のことを考え、行動するようになっていない限りは、本当の意味での地域主権は実現できないだろう。
 そういった意味で、今回のフォーラムを機に参加者自らが茅ヶ崎のスタイルとは何かを考え、そして行動するようになってくれればと祈っている。

2.連携による相乗効果を

 一方で、今すでに茅ヶ崎のスタイルを考え、活動している個人や団体は、点で活動するのではなく、連携をとって活動していかなければならないだろう。
 質問であがった「赤とんぼ」が好例だが、やはり活動をしていても、一団体だけでは広めるにはどうしても人員的にも金銭的にも限界がある。
 連携をとれれば、効果的に活性化を図ることができるはずである。
 そういった意味では、茅ヶ崎TMOは、茅ヶ崎の活性化を面で捉えて活動しよう考えているので、こういった団体や個人の活動と連携を取るように呼びかけて、まとめあげる中心的な団体になる必要性があると私は思っている。
 このフォーラムで、茅ヶ崎における「赤とんぼ」と作曲家山田耕筰の価値を見直して発信しようとする団体を知ることができたので、ぜひこの団体と連携を取って活動すべきである。
 その連携を積み重ねていくことが、茅ヶ崎TMOのこれからの重要な役割である。


参考

 各団体のURLは以下の通り
   茅ヶ崎市商店会連合会  http://www.chigasaki-town.net/top.html
   湘南スタイル研究会  http://www.shonanstyle.ne.jp/

Back

海老名健太朗の論考

Thesis

Kentaro Ebina

松下政経塾 本館

第22期

海老名 健太朗

えびな・けんたろう

大栄建設工業株式会社 新規事業準備室 室長

Mission

「ノーマライゼーション社会の実現」

プロフィールを見る
松下政経塾とは
About
松下政経塾とは、松下幸之助が設立した、
未来のリーダーを育成する公益財団法人です。
View More
塾生募集
Application
松下政経塾は、志を持つ未来のリーダーに
広く門戸を開いています。
View More
門