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1994年度 松下政経塾報1994年度 松下政経塾報

オピニオン
1994年5月

教育に市場原理を

村井嘉浩/松下政経塾第13期生
常々疑問に思っていたのだが、なぜ日本の学校教育には市場原理が働かないのだろうか。

 お金を出して教育内容を買い付ける生徒(消費者)が学校選択の自由もなく常に厳しい競争にさらされ、逆に教育内容を売りつける学校(生産者)がつぶれる心配もなく存在しているのはどう考えてもおかしい。

 どのような社会でも、生産者が厳しい競争を行い、そこから生み出された物なり、サービスなりを消費者が自由に選択するのが常識である。同じ教育内容を扱っている予備校や学習塾には倒産の危機があり、過当な生徒獲得競争を行っている。ならば教育だけが市場原理からはずれる神聖なものとは到底言えないだろう。

 2月初旬からスウェーデン研修に行き、その疑問に対する1つの答えが見つかった。スウェーデンの首都、ストックホルムでは、日本よりはるかに進んでいる地方分権をさらに進めるため、実験的に3つの特別区を作っている。それぞれ3つの特別区は、子供の数が多い・移民の数が多い・高齢者の数が多いという特徴を持っている。

 その中で今回は特に、北ヨーロッパで最も子供の数が多いスカルプネック地区を視察した。本地区では、日本のように学区制度を設けず、生徒1人1人に予算をつける。1人分の予算を持った生徒が自由に学校を選べるシステムを導入しているのだ。こうすることによって、よりよい教育を行う学校に自然に生徒が集まり、生徒が集まった分だけ学校に与えられる予算が増えることになるのである。各学校は、1人でも多くの学生を獲得するため(たくさんの予算を獲得するため)、よりよい教育サービスを求め切磋琢磨していた。 日本では学区制度を設け、入学者数を把握し、各学校ごと予算を配分しているため、どうしても学校間(生産者間)の競争は生まれにくい。個性が問われる時代になっている。学校がそれぞれの独自性を発揮し、競い合ってサービスの向上に努めるためにもぜひとも本システムの導入を提言したい。

1994年5月執筆
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