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松下政経塾




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1993年度 松下政経塾報1993年度 松下政経塾報

1993年11月

白石持ち

村井嘉浩/松下政経塾第13期生
 「一生に一度はお伊勢参りを」。

 そのお参りは室町時代から盛んとなり、今日も多くの人が参拝している伊勢神宮。今年は、20年に1度、建物から調達品まで一切を造り替え新しく清浄な神座に神様のお遷りを願うという世界にも例のない「式年遷宮」が行われる年である。

かねがね〈神道〉に興味をもっていた私は、国民が一日神領民として参加することができる「お白石持ち行事」を取材した。お白石持ち行事は、内宮と外宮の新しい御正殿の御敷地に敷き詰める白い石を奉献する行事である。
お白石を真新しい四斗樽に入れ、重さ6トン、長さ7・5メートルもある奉曳車にのせて、白装束に揃いのハッピ姿の2000人以上の一日神領民が、2本の綱を引っ張って神苑広場まで運ぶ。その後お祓いを受け、1人1人が清浄な白布にお白石を包み新宮の御敷地に奉献する。取材したのは、1カ月続いた本行事も最終日を迎えた8月30日、最後の奉曳車だった。これから20年先まで、同行事が行われないと考えると極めて感慨深かった。

 戦後、神道が軍国主義の宗教的根拠のような扱いを受け、その影響が教育にまで及び「神ながらの道」というものが次第に消えてしまっている。

 本行事の参加者が前回(20年前)の3倍の5万人となり、若い人々や子供までもが一緒になって、熱心に白綱を引いている様子を見て、日本人の心の奥底にしまい込まれている神への畏敬の念というものを垣間見たような気がした。

 日本の聖地「伊勢神宮」は、深い森に包まれ、切り倒されることなく参道の真ん中に大木が存在している。これは昨年、海外研修に行ったキリスト教の聖地では見ることのできなかった情景だ。日本人の自然観が端的に表われている。日本人の自然環境に対する対応の仕方に示唆を与えているのではないだろうか。

1993年11月執筆
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