タイトルやメニューをスキップして、内容を表示

松下政経塾




サイトマップ

更新メールニュース登録

登録

1992年度 松下政経塾報1992年度 松下政経塾報

1993年3月

ホームヘルパー制度を導入せよ

前原誠司/松下政経塾第8期生
 先日、京都府内のある特別養護老人施設を訪れ、理事長さんとじっくり話をさせてもらう機会に恵まれた。その時、大変驚いたことがあった。理事長さんが「自分のやっていることは間違っているのではないかと思うことが度々ある」と言われたことだ。

 篤志家が損得感情抜きに、献身的にやっておられ、私なんかとても真似ができないと常々思っていた。その、尊敬に値すべきことをやっておられる方から「自分は間違っていることをしている」という言葉を聞いたのだ。

 理事長さん曰く「お年寄りの方はほとんど家に帰りたがっている。現在、在所中の半分以上のお年寄りがリハビリも行ない、歩ける状態にあり、家に帰ってもそれほど家族に迷惑をかけずに生活できる。にもかかわらず施設があるため家族の人が面倒を見ない、迎えにこない。ここのお年寄りのほとんどがこの施設で死を迎えます。中には、この施設があること自体を恨めしく思っている人たちがいて、皆に感謝されている訳ではない」。これが理事長さんの複雑な心境だ。

 介護する側の主義・主張ばかりが取り上げられるが、介護される側であるお年寄りの心情、人格といったことも十分考慮に入れていかなければ、本当の福祉政策は生まれてこない。

 私は、高齢者サ−ビスは基本的に在宅で行われるべきだと考える。在宅サ−ビスを充実させるために、ディサ−ビスセンタ−や介護者支援センタ−、またリハビリ・治療機能を重視した特養・老人ホ−ム・老人病院なども、それに応じて整備していくべきではないか。

 議会で質問し、提言しているのが、北欧などで採用されている家族ヘルパ−制度の導入だ。家族ヘルパ−制度はホ−ムヘルパ−の仕事を家族の方にやってもらおうというもの。施設への需要が高まってくる前に、ホ−ムヘルパ−の仕事を家族の人にやってもらい、給料をお支払すると同時に、必要な研修も受けてもらえば、在宅介護の基礎的な知識も習得してもらえる。また、国や地方の財政面でも、施設への依存が少なくなる分、家族ヘルパ−制度の導入は費用的にも安くつくという試算が各方面から出されている。

 京都府は寝たきり・痴呆性老人を介護されている方々に介護者激励金を渡すという素晴らしい制度を持ってる。一歩踏み出した家族ヘルパ−制度の導入についても、他の都道府県に先んじて行うべきだと考え、これからも引き続き議会において要望し続けていきたい。

1993年3月執筆
ページトップへ