タイトルやメニューをスキップして、内容を表示

松下政経塾




サイトマップ

更新メールニュース登録

登録

1997年度 月例レポート1997年度 月例レポート

1997年11月

ナチュラルステップの環境教育 その1

藤沢裕美/松下政経塾第15期生
1.はじめに 2.カールヘンリク.ロベール「ナチュラルステップ基礎セミナー」

1.はじめに

 ナチュラルステップ設立準備委員会では、来年秋の設立をめざし、その第一歩として 11月3日〜8日、創立者のカールヘンリク.ロベール氏を招聘し、東京と大阪で幾つ かの セミナー.シンポジウムを開催した。

 ロベール氏来日中のスケジュールは、以下の通りである。

 
11月4日 
基礎セミナー(準備委員会主催)グリーンフォーラム(日刊工業主催)        
スウェーデン大使館記念講演会  
11月5日 
基礎セミナー 三菱環境問題研究会  
11月6日 
プレス対応 環境マネジメントセミナー(日本能率協会主催)大阪へ移 動  
11月7日 
環境マネジメントフォーラム(日本能率協会主催)記念交流会

 かなり過酷なスケジュールであったが、ロベール氏ははじめての訪日に満足そうだっ た。聞けば彼は、スウェーデンにおける空手のチャンピオンであり、「いつか日本に行 ってみたい」と子供の頃から思い続けていたそうである。

 今回の訪日は、短期間でアレンジしたわりには、人も集まり、ひとまずは成功であっ たと考える。
 私自身は、準備委員会のスタッフとして、インストラクター養成の第一段階である「 基礎セミナー」をはじめ、東京での環境マネジメントトップセミナーを除く全てのセミ ナーに参加した。
 今回は、ナチュラルステップ.アメリカからも、スーザン.バーン氏という、ナチュラ ルステップの環境教育を、今年の2月から三菱アメリカに導入するコンサルティングを 行っている女性が来日し、幾つかのシンポジウムで講演を行った。
 スーザン女子が来日したことで、参加者は、スウェーデンにおける幾つかの企業の事 例と、アメリカにおける企業の事例をまとめて知る事が出来、大きな刺激を受けた。
 日本能率協会主催のセミナーのアンケートをみると、その他の講演者と比較しても、 ロベール氏の講演に対する評価は高く、「国際的で日本にはない発想」「哲学的で感銘 を受けた」などの感想があがっていた。
 今後はこれらのアンケート結果等を参考に、日本の市場を把握しながら、いかにナチ ュラルステップの環境教育を日本流に咀嚼していくか、皆でアイディアをだしあい、具 体的なプログラムを作成していく予定である。
 現在企業では、国際標準としてのISO14001の認証取得が急ピッチで進んでお り、ISOの中では従業員への階層別環境教育の必要性がうたわれている。
 ISO14001は、マネジメントシステムを構築することであり、「企業は何をめ ざすべきか」を明確にするものではない。それに対し、ナチュラルステップの環境教育 は、基本的なシステム思考や、将来の企業がめざすべきビジョンを提唱するものであり 、ISOとは相互補完関係にあるとの見方が、スウェーデンやアメリカでは強くなって いる。
 私自身は、ISOの勉強も継続しているので、このテーマで環境教育プログラムを作 ってみたいと考えている。

2.カールヘンリク.ロベール氏による「ナチュラルステップ基礎セミナー」

 次に、4日、5日と行われたナチュラルステップ基礎セミナーについてである。
 今回の基礎セミナーの参加者は約30名。費用は3万円である。
 将来インストラクターをめざす場合には、この基礎セミナーを受講していることが前 提となっている。
 私は、ナチュラルステップの基礎セミナーを受講して、ますますその環境教育プログ ラムに興味を持った。
 ここでプログラムの内容について、簡単にまとめてみたい。

 基礎セミナー一日目は、

 
1導入 
共通認識の必要性 生命の基盤 自然界の相互関係  
2循環思考 
循環型社会の意義 持続不可能な今日的社会の様子 持続可能な社会に 必要な条件  
3企業組織と環境は両立するか 
実践可能なリサイクル 実践可能な事業への「コン パス」

 といった内容にそって行われる。
 それぞれの段階における講義の内容は、次のようなものである。

 1.導入
 人間の生活は、自然の循環の一部へ統合されているが、それをささえているのは、太 陽をエネルギー源とするさまざまなプロセスである。中でも重要なのは、水循環および 動物と植物の間になりたっている化学的物質循環である。
 自然界の物質循環がたもたれているのは、生命に必要な栄養物や、さまざまな排出物 がこうした永遠の循環のなかで合成され、分解されているからである。この自然界のバ ランスを保つ動き、「ホメオスタシス」が、人間の生活をささえる基盤であるが、それ が今、脅かされつつある。
 入手が困難になっていく天然資源、減少する緑、生態系循環への漏出が続いて、高濃 度化する分子単位の廃棄物(分子ゴミ)、これらの負の遺産に対し、何らかの策を講じ る必要があることは明白であり、これ以上問題を先送りすることはできない。
 地球の歴史を振り返ってみれば、10億年前にはじめて地球に単細胞が誕生し、それ から気の遠くなるような歳月をかけて、オゾン層が出来、人類が誕生した。
 人類はこの進化の歴史を凄いスピードで逆戻りしており、地球を太古の状態に戻しつ つある。
(1で確認されたこと、物質は消滅しない、物質.エネルギーは拡散するなど の科 学的な原則、自然の循環)

 2.循環思考
 それでは、我々の行動のどこに問題があるのか、考えてみよう。
 ナチュラルステップは、どうすれば現在の「持続不可能な社会」から逃れられるのか 、そのシステムを作り、これを企業や自治体に提唱している。
 まずこの部屋(あるいは一つの美しい庭)を例にとってみると、この部屋を破壊して しまうのは、次の3つの方法がある。

 
誰かが部屋の外から、物質をどんどん持ち込むこと  
部屋の中で、廃棄物がどんどん分散する状況を作り出すこと  
部屋そのものを、物理的に破壊すること

 これらの状況を回避するには、次の条件が必要不可欠である。
 
部屋(ガーデン)を壊さないために、資源を有効に公平に使用する

 私達の住む現代社会と言う「持続不可能な社会」をとらえる際に、重視しなければな らないのは、「全体を見る視点」である。
 経済学者や多くの政治家は、増え続ける一方であるごみの山を見て、議論をしている 。しかし、その反対には掘り尽くしてしまった資源、深く掘るためにますます必要にな るエネルギー、劣化する地球といった現実がある。(一枚の絵による説明)  企業や自治体は既に、税金.資源や廃棄物処理費用の上昇、保険会社や金融機関の条 件 の強化などが、自分達の日常生活に影響を与えていることに気づいている。
 ここから、「持続可能な社会」を構築するために、我々がめざさなければならないビ ジョンが導かれる。

 即ちそれは、

 
地殻から掘り出したものに対する経済依存度を出来るだけ減らす  
自然界にない物質の廃棄を出来るだけ減らす  
自然の物理的基盤を守る  
資源.エネルギーを効率的に使用する

 である。

 このようにごみの山、下流から問題をとらえるのではなく、問題の根源である上流か ら問題を認識することで、全システムをカバーし、将来的な壁にぶつかることを回避す ることが可能になるのである。

1997年11月執筆
ページトップへ