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卒塾生とキャリアについて考える ~松下政経塾説明会(新宿会場)

2016/7/10

2016年5月27日に行われました、松下政経塾説明会in新宿の様子をお伝えします。当日は少人数のグループセッションを中心に進められ、医療・教育・政治の第一線で活躍する卒塾生と参加者の皆さんとで熱いトークが繰り広げられました。
今回はその中から、卒塾生で松戸市議会議員の山中さん(第26期)、岡崎さん(第33期)が参加したグループの様子をご紹介します。

山中: まず、私を見て政経塾出身の政治家は全員こうなのだとは思わないで下さい。
 私は千葉県松戸市で育ったのですが、市民として自分が住むまちを住みやすいまちにしたいと思いました。48万人の市民の中で、誰かが問題を指摘するまで待つよりも声を上げ、文句を言うよりも行動する人になりたいと思いました。そして、人のために自分の能力をつかって役に立ちたいと思いました。
 そこで政治を考えたのですが、大学で政治の古典を学んでも政治のことはわかりませんでした。大学卒業後、サラリーマンをしながら悶々としていましたが、やっぱり政治で人の役に立ちたいと思い、政経塾を目指しました。当時ノートに問題意識を書き記していたのですが、それを入塾選考でぶつけてみたら、合格しました。
 私からお伝えできることといえば、とにかく、人とあった方がいいということです。その点、「塾生」という立場は、松下幸之助塾主にお世話になったからといろんな人が会ってくれる。塾の研修は様々な人に会うチャンスです。その分、常に気が抜けませんが。
ではご質問をどうぞ。

参加者: 首長になりたいと思っています。そのために自分に何ができるかを考えています。
 
山中: 目的をはっきりさせた方がいいです。地方政治に関わる方法はいろいろあります。有権者にとってのメリットが達成されれば、首長にこだわる必要はありません。目的と手段を間違えないように。

参加者: 教育に携わっています。政経塾のような塾を自分でつくりたいです。
 
山中: 別に政経塾に来なくても、政経塾でできることはひとりでも大抵できます。ただ、ひとりだとなかなか続かない。仲間の存在は大きいです。

参加者: 私には具体案がありませんが、地方にも国にも世界にも問題は多い。自分がどの問題のスペシャリストになるかを考えるために政経塾に入りたいと思いましたが、そういう人は政経塾に求められていないのでしょうか。
 
山中: 何が問題か紙に書いて、人に見せてフィードバックを貰って、やりたいことが固まったら受験したらいい。
 
岡崎: いまの政経塾のエントリーシートは、本人がやりたいことを深掘りするような質問になっているので、まず書いてみて欲しいです。自分も受けるときに、友人5人に見てもらいました。いろいろ言われましたが、自分なりに一生懸命考えて、その上で思い切って提出しました。そのおかげで今の自分があります。まずは自分の思いをオープンにしてみることが大切です。

参加者: 市議とは別の選択肢として、国で普遍的なやり方を追求する方法もあったのでは?
 
山中: NPOなど色々考えました。こういう仕事は儲からないので、公共セクターがやるわけです。その中で、市議が一番身近。ところが、自分が税金を払っている人たちが自分の要求水準に達していない。だから迷いはありませんでした。

参加者: パブリックセクターに興味があり、参加しました。政治家が日々何を考えているのかは、遠くてイメージが沸きにくいので。
 
山中: 実は遠くありません。遠くしているのはあなた自身です。あなたからアクションを起こすことでいろんなものが見えてきます。アクションを起こせば、近い。

参加者: 政経塾に入ってよかったところは何でしょう。また、社会人として学ぶ機会を4年間失うわけですが、後悔する部分はありますか。
 
山中: 政経塾はいろんな人があつまっています。世界が広がる、一回常識をリセットして考えられる、それがよかったです。
 サラリーマンをやっていた方が良かったと思うのは、安定を得られたことでしょう。もっとも私は安定に魅力は感じませんが。
 政経塾は、安定を求める人が来る場所ではありません。実際、政経塾を出たからといって、必ず選挙に当選するわけではない。逆に、政経塾に来なかったからといって、当選しないわけでもない。人間死ぬ気になれば、僕らと同じことは容易にできます。ただ、能動的に死ぬ気になれるかどうか。

参加者: いい指導者がいないと人が育たないですよね。
 
山中: 誰か特定の人の指導を受けさえすれば成功するということはありません。だからこそ自分たちで道を切り拓いていこうというのが塾の考え方です。パンフレットに錚々たる講師名が書いてはありますが、それは用意されたものではなく、自分たちで教えを請うて歩いた結果なのです。
 そこを省略し、最短でいくなら、公共経営の大学院で学べばいいと思います。もっとも、人間を学ぶという点では政経塾が一番だと思いますが。

参加者: サラリーマンをそのまま続けて目指せるものはなかったのでしょうか。市議になるのはそれ以上なのでしょうか。
 
山中: 当時の私は、市議を目指すという選択肢以外考えていませんでした。今、情報過多で迷う人が多いと感じます。もっとも、自分が一つしか見つけられないだけなのかもしれませんが。
 市議になって、社会が変わる手応えを実感したことがあります。橋を直して中学生から感謝されたことがあるのですが、その重みはサラリーマン時代のありがとうとは違いました。

<参加者の感想>
最後に参加された皆様から感想を頂いたところ、
「手段を考える前に目的をはっきりさせることが大事だと気づいた」
「やる人は塾に入塾しなくてもやるというのが印象的でした。」
「安定でなくリスクを背負うという生き方に興味を持ちました。」
といった声が寄せられました。
今後も折に触れて、対話の場を設けたいと思います。

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