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卒塾生と現役塾生が語る、自修自得の研修 ~入塾説明会(新宿会場)
パネルディスカッション「松下政経塾の研修」(3)
質疑応答:徳とは、人間とは。 (4/4)

2015/7/27

本間: それでは、質問のある方、どうぞ。

質問1: 皆さんすごくスピーチが上手いのですけど。なぜそんなに上手いのですか?

佐野: 塾に入ると、毎朝朝礼で所感の発表をするのですね。そういう訓練はあります。あと、研修先で「挨拶してくれ」と振られることがあって、それを何度もこなしていくうちに、少しずつスキルが上がっていくのかなと思います。
 
本間: あと、やっぱり話が上手い卒業生は一杯いるし、いいお手本を見るチャンスが一杯あるというところも、能力を高めるために役に立つかなと思います。

質問2: 徳について、具体的に感じられたことがあれば教えてください。

木村: 難しい質問ですね。自分自身まだ分かっていないというのが本音です。いろいろな先輩にお会いさせていただく中で、徳というのはこういうものなのかなというのを漠然と作っている状況です。
 
本間:  山本君もどうぞ。
 
山本: 塾でお会いする素晴らしい方を見た時に、「ああ、こういう方のことを徳がある人というのだな」という経験は多いです。ただ、自分自身がどうすれば徳を積めるかというのは、まだまだ分かっていないというのが現状かと思います。
 
本間: 結構ね、これ一生の課題かもしれないのですけどね。卒塾生、11期生の大森興治君が後ろにいまして、徳についてどうぞ。
 
大森: 身近な人によく思われているかではないでしょうか。私の場合は、徳イコール奥さんによく思われること、だと思います。

本間: すっごい分かりやすいですね。徳については一言では答えられないのですが、一つはコミュニケーション能力だと思います。地球社会の上にいろんな価値観を持った人たちがいて、その人たちとコミュニケーションが取れて、多様性を受容できることが、グローバル社会における徳ではないかなと思っています。それをどう磨くかというと、意識し続けることだと思います。「素直な心」ということを本当に松下さんはよく仰っていたので、素直になるためにはどうしたらいいでしょうかと質問すると、30年素直になろうと思い続けたら、素直の初段になれると。目標に対して思い続けるということが本当に大切で、何が徳かということは、30年努力し続けていれば、次第次第に分かって来ることかなと思います。どこかの教科書に書いてあって、AイコールB、そういう性質のものではないという感じがします。

質問3: 外交広報という目標を成し遂げるには、政治家なのか、それ以外か、どういったアプローチをされるお考えかということと、10年後どう日本は変貌しているのか教えてください。

佐野: まだ決まっていません。一つ考えているのは、これから自分の仲間がたくさん政治家になっていく中で、ただ日本の政治家は勉強し、政策立案する時間がなかなか無い中で、自分が研究して、政治家になっていく人を助ける役割に就きたいと考えています。なので、シンクタンクかもしれないし、大学で研究することかもしれないし、NPOを立ち上げることかもしれないし、方法はいろいろあると思うのです。いろんな人との出会いの中で考えていきたいと思っています。
 
そして、日本の外交政策ですけれども、今この日本が大事にしている、自由とか、法の支配とか、民主主義とか、こういう価値観を他のアジアの人たちにも理解してもらうことによって、戦いの無い、トラブルを話し合いで解決できるアジアを作っていけたらいいなと。希望的観測ですけども、10年後にはそういう姿に近づいているのではと期待しています。

質問4: 塾生の生活の中で人脈を作る機会には、どういったものがありますか。

山本: カリキュラムに則って生活を送っていれば、自然といろんな方と知り合うことが出来ます。あとは、自分の活動の時間で人脈を作っていく形になります。
 
本間: 政治家でも、政治家以外でも、塾出身者はいろんな分野にいるので、結構いろんなところに繋がりはあるから。

質問5: 人間とは何ですか?

山本: 人間とは何か。塾に入ると本当に様々な方に会います。その中で自分が知っている世界は本当に小さいのだなと、人間というのは複雑なのだなと気付けたというのが、成長なのかなと思っておりますけど、まだまだ勉強していきたいなと思っております。
 
本間: 今日は卒塾生、21期生の原田君も来ています。人間とは何でしょう。

原田: そういった質問、嬉しいなと思います。塾に来て何を勉強するかを一言でいうと、志を学ぶということですね。もうちょっと噛み砕いていうと、価値判断の基準、自分なりの哲学を学ぶと。政治家にしろ経営者にしろ、時間もない、情報も必ずしも完全ではない中で判断を下していかなければいけない場面に遭遇するわけです。そういった時、最後は結局、自分の志、信念に従って、もっと平たく言うと、自分の直感に従って行動することになるのですけれども、それを身に付けるのが塾だと思っています。塾で人間とは何かを学ばれる時に、いざという時に自分はどうするのかを考えていただけると嬉しいですし、その姿、いろんなものを削ぎ落として行った時に、最後にどうするのかというその姿、それがその人にとっての人間そのものだと思います。
 
本間: 素晴らしい。咄嗟の判断力と、その時に出るものがその人だ。
塾是には「新しい人間観に基づく政治・経営の理念を探求し」とありますが、松下幸之助さんが書いた「新しい人間観」という文章があって、その中には、人間は万物の王者である、と凄いことが書いてある。それは、王者だから偉いのだ、ではなくて、王者だから責任があるのだ、と捉えました。僕自身は、自修自得と徳知体三位一体の研修というのが大切なキーワードになっていて、人間というものはホモ・ディスケンス、学ぶ存在だと。生まれてから死ぬまで、学び続ける存在だと。
古山塾頭にも聞いてもいいですか。
 
古山: 私は、人間とは万差億別の存在であると。これは松下幸之助の造語なのです。千差万別どころには収まりきらない。世の中には誰一人無駄な人はいなくて、一人ひとり役割を担って生まれ出て来るということだと思うのですよ。
 
本間: なるほど。政経塾ってどんな人がいるのですか?と聞かれたら、動物園みたいなところです、って僕は答えることにしていて、動物園には、キリンがいてゾウがいてサイがいてカバがいて。塾生って皆一人ひとり違うから、カテゴリに括ってもあまり意味ないのですよね。本来、一人一人というのが天分を与えられていて、違うパーソナルミッションを持っていると思っていて。自分のミッションは何なのか、どんな形で社会に貢献できるのかを、考える、見つめるという観点から見ると、松下政経塾というのは世界に類例を見ない教育機関だなと思います。

質疑終了後、グループディスカッションへ
 
パネルディスカッションと質疑応答の終了後、小グループに分かれてのグループディスカッションが行われました。当日会場に駆け付けた卒塾生と現役塾生が各グループに入り、参加者は自分の興味関心と活動分野・テーマが近い塾関係者のところへと分かれ、さらに具体的なやりとりを続けました。

各グループでの話は多岐にわたっておりますが、そうした場で生の話ができるのも、政経塾の説明会ならではの風景です。

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