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1993年度 地域から日本を変える1993年度 地域から日本を変える

1993年6月

ネットワーク
「自分のことは自分で」

桑畠健也/松下政経塾第9期生
「NGOが自分たちの問題を自分たちで解決していく。ちにか運動と開発途上国NGOの哲学は同じではないですか」と語るのは岡田和男さん(「地域から日本を変える」特別会員・団体職員・25歳)。

大学在学中の昨年、スリランカのNGOで農村開発運動を行っているサルボダヤ運動に、日本の団体から2つの知的障害児のための施設建設寄付を取りつけた海外援助の実践家だ。

「是非とも途上国NGOの<下からの開発>を見たい」との思いで、図書館や研究所で情報収集したところ一冊の本に出会った。偶然にも数日後、その本の主人公の講演を松下政経塾で聞くチャンスに恵まれた。サルボダヤ運動代表者のA.T.アリヤラトネ博士の講演である。「個人、家族、村、国家、世界の覚醒」を訴え、「やればできる」と人々を目覚めさせる博士の哲学に感銘した。

 その後サルボダヤ本部に交渉し、夏休み1カ月間をスリランカで滞在することになった。コロンボ空港から車で1時間のところにある、サルボダヤ運動のガンパハ地域センタ−で幼児教育、貯蓄、トイレ・井戸建設、シュラマダナキャンプ(村人の共同作業)などのプログラムを見学した。

 滞在中、知的障害児のためのリハビリ学校が開校した。現地の責任者から次回の学校建設費への日本からの資金助成について相談された岡田さんは、スリランカの福祉・障害児教育の現状を知るため、国立リハビリテ−ション施設、公立小学校の障害児学級を訪問。聞き取り調査を行った結果、知的障害児のためのプログラムの必要性を痛感した。

岡田さんは帰国後、資金、人材交流の両面から関係団体、財団に資金の助成を訴えた。20の財団に折衝したが、その6割が留学生のための奨学金助成に限り、しかも一般公募はせず、助成対象国を限定していた。そうした中、一年がかりの交渉で庭野平和財団から好意的な返事をもらった。しかし、現地からの申請額が規定以上であったため申請会議で不採用となった。

 2回目の申請のために再び現地を訪問し、開校したリハビリ学校の現状、障害児の父母からの要望を調査した。申請額、計画の再検討を行い、ようやくリハビリ学校3校の建設費と備品代の助成(55万円)が決定。92年11月、そのうちの1校が完成した。同時に、日本ユネスコ協会連盟の助成(150万円)も取りつけ、ガンパハ教育センタ−の隣接地に知的障害児20人のためのデイケアセンタ−(健康診断、英語教育、音楽などのトレ−ニングができる)が建設されることになった(今年7月完成予定)。

 このデイケアセンターの完成後、自己資金調達や父母の所得創出のためにノ−ト作りを計画している。障害児の父母が製造したノートを行政機関が買い上げ、公立学校へ提供する契約である。実施されると父母10人の雇用、教師4人分の給与、スタッフ7人分の交通費が支給できる予定という。

 「NGOの自己資金調達能力を高めること、現地のNGOといっしょに行動することが大切ですね。<金を出しても、人は出さず>と海外から批判されるが、それ以前に”志”をもった人材がいないのでは。国際協力で将来リーダー的な役割を担う人材を育てなくてはいけません」と岡田さん。

 「開発途上国の自立については」という質問には、「何が自立なのかわからなくなりました。逆に開発途上国から教えられることが多くて」と白い歯を見せて笑った。

1993年6月執筆
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