タイトルやメニューをスキップして、内容を表示

松下政経塾




サイトマップ

更新メールニュース登録

登録

1992年度 地域から日本を変える1992年度 地域から日本を変える

1993年3月

インディアンな人々

桑畠健也/松下政経塾第9期生
  • 「インディアンは7代先の子孫のことを考えて行動する」。新にっぽん風土紀に登場していただいた人々は、7代先とはいかないまでも、子孫に有形無形の何かを伝えたい人々でした。田んぼを残す。雑木林を残す。松林を残す。川遊びを残す。当然ながら残すのはつぶす以上に大変なことです。形のあるものを残すのが大変なら、形の無いものを残すのはもっと大変です。

  • トトロのふるさと基金の荻野豊さん(44)は、映画「となりのトトロ」の舞台となった武蔵野の雑木林を残すために「トトロ基金」を始めました。

     山形県朝日町の養蜂家、安藤竜二さん(28)は、養蜂業を残すために、蜜樹となるトチの木の保全に知恵を絞り、養蜂業にとってトチが大事であることを地域に紹介する博物館を自力で作り始めました。地域の理解なしでは、トチの木が守れないためです。

    新潟県越路町の朝日酒造、嶋悌司さん(63)は、おいしい酒をつくるためには水環境を保全しなくてはならないと考えました。そのための努力が「ほたる」の復活に行き着きました。

    東京都足立区役所の田中俊幸さん(43)は、荒川に自然豊かな川遊びを復活させるために動物が住みやすい河川敷に改修しました。

    雑木林の管理や養蜂、酒づくり、川遊び。これは文化と呼ばれる無形のものです。文化のような無形のものを残すためにはその環境も残さなくてはいけない。いま紹介した人々はそのことに気づき、いちはやく行動を起こした人々です。

  • 自然を含む環境は、ただ一つの目的のためにだけ存在するものではなく、多くの目的に利用されるために存在するのが本質です。

     田んぼが「コメを作るだけの工場」でないように。田んぼはワラを生み、とんぼやかえるの住処になっています。「(田んぼは)コメさえとれればあとの機能は必要なく」なり「(河川敷は)洪水さえ防ぐことができればそれで良い」という考え方が日本ではずっと続いて来ました。現在でもこの考え方が跋扈(ばっこ)しています。

     農地が生産のみの場でなく、レジャーや人間付き合いの場となることをクラインガルテンは教えてくれました。

  • 本当の環境保全とはただ再生紙さえ使えばいいというものでは無く、環境を様々な角度から色んな方法で使える状態にしておくことです。 それは現在だけのことではなく子孫にとっても使いやすい環境を残しておくことも含まれます。そのためにも環境は多様でなくてはなりません。色や形、そこに住む動植物が調和を保ちながらバラエティに富んでいて初めて、多様な環境と言えます。多様な環境からは当然多様な文化が生まれて来ます。

  • 毎回挿絵を提供していただいた、山形県西川町在住の菅野哲治さん(68)は、自分が育った故郷西川町での自然の中にあった子供時代をテーマに絵本「みちのく西川子ども歳時記」を出版されています。「私達を育んで呉れた、この尊い、ふる里の山河を、(中略)幾世代後の子どもたちにまで遺してやりたい」(同絵本前文)菅野さんの挿絵は、言葉以上に多くのことを伝えてくれました。

  • 1993年3月執筆
    ページトップへ