和歌山県竜神村の千葉伸身さん(56)は憤りを押さえながら語ってくれました。千葉さんの会社「千葉製箱梶vは梅干しやカステラなどの包装用木箱を作っている食品容器製造業です。丸太から建築用材を切り取ったあとの端材を利用しています。
材料となる丸太も竜神村で切り出されたものです。木箱の製造は、自然からいただいた丸太を無駄なく使うためのアイデア。丸太も竜神村の人々が永年丹精込めて育てた杉丸太です。
●ところが、ここ数年のエコロジーブームが、千葉さんたちの仕事に思いも寄らぬ影響を及ぼし始めました。得意先のデパートなどから商品用木箱の注文が減り始めたのです。千葉さんにしてみれば、自分のところの木箱こそエコロジーにふさわしい「環境商品である」と密かに自負していたほどです。
デパートに事情を聞いたところ、環境保護団体などが木箱の使用中止を求めてきたからだとのこと。千葉さんの木箱のかわりに、いまでは再生紙利用の紙箱に替わったそうです。ご丁寧にもその紙箱には木目の印刷が施されているそうです。環境保護団体によれば、どうやら、木箱によって森林が破壊されるとか、包装用木箱にこんな立派な木を使うのはもったいないということらしいのです。
確かに見た目には端材を使っているようには見えないほど立派なものですが、木箱の材料は本来なら捨ててしまうものですし、竜神村のような村では、木を切るための森林は、ダイコンを育てるための畑のような存在です。
ダイコンを畑からとって「畑が破壊される!」と文句を言う人はいません。熱帯雨林のようなところではたしかに一旦切ってしまうとなかなか回復しないのは事実です。それと管理が適正な日本の森林とを同じく論ずるのは自然界の理屈を知らない、実におかしな考え方です。
だいたい再生紙にしてもその製造過程では、大量の水と漂白のための薬品と、エネルギーとを使ってできるものです。
木は、その点太陽エネルギーですくすくと育ち、加工の過程でも水を汚すことはほとんどありません。「どう考えても木箱が再生紙箱に比べて環境に悪いとは思えない」のです。
●そこで千葉さんたちは「エコマーク」(環境保全商品であることを示すマーク)を申請することにしました。いわれなき誤解を取り除くためです。エコマーク商品の対象品目のなかにも「廃木材再生品」という項目があります。ところが「財・日本環境協会エコマーク事務局」に電話したところ門前払いされました。「木箱のような包装品は認められない」の一点張りでした、と竜神村林業課の手谷新一さん(39)は半ば呆れ顔です。
たしかに、木箱も包装後は、ゴミとなるし、使い捨てそのものが悪いという人もいます。だとしたら、缶飲料についているエコマークはどう理解したらいいのでしょうか。なかでもアルミ缶は投げ捨てられればいつまでも朽ち果てることがありません。
●皮肉なことに、木箱を否定すればするほど逆に自然は確実に破壊されるのです。とっつけもないことです。



















