1つは京都ホテルが、現在の9階建て31メートルの建物を地上16階建て60メートルに改築するというもの。
京都ホテルは京都市の総合設計制度(敷地内に一定の公開空き地をつくれば、建物の高さ規制を緩和する制度)に基づいて建築許可を得たのですが、「古都の景観破壊につながる」という京都仏教会をはじめとする反対運動にあい、一度は京都ホテル側も計画を再検討。しかし、結局、京都ホテル側は計画を変更せず着工を開始したため、法廷闘争にまで至っています。
もう1つは2年後、京都が平安遷都1200年を迎えるにあたって、JR京都駅を改築しようというものです。 京都市は昨年5月に国際設計コンペを実施し、高さ59.8メートルの作品が入選。しかし、駅周辺の高さは31メートルに制限されているため、その建物を建てるためには今年開かれる京都市都市計画審議会で高さ緩和の決定措置が必要となります。京都仏教会はこれに対し、住民投票を提案。京都市は「その必要なし」との姿勢をとり対立をしています。
この問題は近代化に取り残され、落ち込みつつある京都の経済環境の中で、いかに歴史的に重要な文化遺産である町並みと景観を保存するかという点にあります。
<低迷する京都経済>
京都は現在、経済的に低落傾向で、地元財界人を中心に将来に対する危機感をもっています。今回の2つの景観問題が京都で大きな問題となっているのはこうした危機感を背景としたものといえます。
例えば、京都市は新京都市基本計画で、ここ10年で9万人の人口増とみつもりましたが、実際は計画を10万人下まわり、市外への人口流出が進んでいます。また、製造業はここ数年で400事業所も減少しています。
京都の景観問題は、京都という日本を代表する文化遺産を景観全体としてどう保存するかという固有の問題もあります。
しかし、本質的には都市機能の近代化を要請する経済の流れと文化遺産の保存とをどう調和させるのかという全国共通の課題でもあります。
ですから、京都の景観問題の帰結が全国に及ぼす影響はかなり大きいものと思われます。
<21世紀京都の全体像が必要>
京都の景観問題の論点を私なりに整理すると、
- (1)
- 京都は開発すべきか、そのまま保存しておくべきか。(現在はコンセンサスが得られていない)
- (2)
- 開発をするとしたら、地域を限定するのか、しないのか(ゾーニングの問題)
- (3)
- 景観および町屋の保存について規制を加えるのか否か
- (4)
- 景観を維持しながら京都の経済を維持するためには、かなりの経済的負担が生じるが、いったい誰が負担するのか。国からの財政的支援を求めるのか。景観の受益者である観光業者や宗教法人に特別な課税や免税措置の解除をするのか等々が考えられます。
京都政経塾でこの問題について、会員、塾生のみなさんと徹底的に検討をし、新しい京都を創造するために社会に問いかけていきたいと考えています。



















